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フィクションにおける身体拡張描写についての考察シリーズ:「エイトマン」と「アイアンマン」

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エイトマン 平井和正(原作)桑田次郎(作画)

凶悪犯・デンデン虫の奸計に嵌って射殺された(アニメ版では車で轢き殺された)刑事・東八郎(あずま はちろう)。東は、その人格と記憶が科学者・谷方位(たに ほうい)博士によってスーパーロボットの電子頭脳に移植され、警視庁捜査一課にある7個捜査班のいずれにも属しない八番目の男「8マン」として甦った。平時は粋なダブルの背広姿の私立探偵・東八郎だが、ひとたび事件が起き、田中課長から要請を受けると8マンに変身し、数々の難事件・怪事件に立ち向かう。

漫画:週刊少年マガジン連載 1963年20号 - 1965年13号 アニメ:TBS 放送期間 1963年11月8日 - 1964年12月31日

Amazonより

SF作品に必要なのは「真面目な考察と面倒な理屈」!

サイボーグ・ブルースは『エイトマン』を小説化したものですが、しっかりとしたSFの世界観を表現するため、時代設定が未来になっているなど、マンガ『エイトマン』から大幅に変更が加えられています。

両作品に共通するのは、殉職した警察官が「加速性能を持つ高性能サイボーグ体」として蘇るという点です。「殉職警官」のくだりは、後に『ロボコップ』などがオマージュをしていますね。

2つの作品における「サイボーグの設定」、特に自らの移動速度を超人的に上げる「加速装置」の設定をざっくりとまとめるとこんな感じです。

  • エイトマンは完全に電子頭脳に人格が移植されているので「肉体」がありません。よって、マッハの速度を出しても思考・身体共に問題はない、という設定です。(NASAで作ったスーパーロボットみたい!)
  • 一方、サイボーグブルースでは「恒星間航行できる規模の宇宙船と同じくらいのコストが掛かっている」「慣性制御を持つ高速移動可能なサイボーグ体」を政府に貸し与えられているという設定になっています。
    「加速中の思考パターン演算は、肩の中に設置された補助電子頭脳に任せている」という設定もあります。本来の人間の脳では思考が追いつかないでしょうからね……。また肉体の部分は慣性制御を行うことで、加速中のG(重力)が負担にならないようになっている、という設定です。

こんな感じで、加速装置のような超人的な力を持つキャラクターを真面目に考察してSF作品に登場させる場合、本来であれば色々と面倒な「理屈」を組み立てて、設定として用意してあげる必要があります。

エイトマンではこの細かな設定を逆手に取って。「生身のあるサイボーグが加速すると、その部分がダメージを追う」なんてギミックをストーリーに組み込んでいたりするんですよ。

この「こだわり」や「苦悩」が、現在抱えている重要な課題へと繋がっていく

また、両作品の共通点の一つに「生身の肉体を保持していないことへの苦悩」があります。

  • 原子力電池で動いているため、いわゆる「摂食」行為が必要ない。食事をしても、それは結局「食事をする真似」にすぎず、食べた食物は消化も吸収もされずに捨てられてしまう
  • 「肌の質感が違う」「そもそも心臓にあたる有機的な臓器がないので、心臓の鼓動が存在しない」……など、皮膚感覚や内蔵感覚が喪失している

せつない……。作品の中では、このような肉体のない状況から想起される苦悩の様を「魂の牢獄」という形で表現しています。

そしてつまり、これは現代に当てはめると、「サイボーグ化により必要となる代替器官を、我々人類はどのようにして用意するのか」という、重要な研究課題へとつながっていく、というわけです。今のところは……、まだ力感のフィードバックの再現に着手した途上、くらいでしょうか。

精密機械の宿命、それは「メンテナンス」と「駆動エネルギー」

また、両作品には頻繁に「メンテナンス」の描写があります。そう、サイボーグは精密機械ですから「メンテナンス」をする必要があるのです。

  • エイトマンでは谷方位博士が担当。パーツがないときは融通が利かずメンテナンスが大変になってしまう、という描写がされています。
    (作品内では、敵側のエイトマンとほぼ同型のロボットを捕獲して、メンテ用のパーツをゲット!)
  • サイボーグブルースでは、政府の機関がメンテナンスをしていました。
    (本編では肝心のメンテナンスを怠ったことにより、サイボーグの機能が3割程度に落ちてしまう、という描写がありました)

また「サイボーグを駆動させるためのエネルギーをどうやって、さらに安全に破たんなく供給するのか」という点も科学考証の課題になります。機械は電力がないと動きませんからね……。たとえば、

  • 原子力電池は寿命が長い(人工衛星にも使われています)が、熱暴走の危険がある
    ※ 当時は放射能に関する研究が途上だったこともあり、作品内にて放射能への言及はほとんどされていません
  • その一方で電子頭脳は「熱に弱い」ため、原子力電池が持つ熱暴走の危険性を回避しなくてはならない

という感じ。

ここら辺を意識したフィクションは当時はあまり多くありませんでしたので、その点この2作品は非常に細かい点まで考察がなされていた、と言えます。

エイトマンの頃はアニメの脚本家などがまだ育っていない、いわば「アニメ黎明期」であることもあり、後に活躍するSF作家(豊田有恒、半村良)も脚本に関わっています。その結果として、エイトマンのSF考証がしっかりとしているのは必然だった、とも言うことができますね!

サイボーグなどの身体拡張が近づいた現代に「エイトマン」は見る価値あり!!

おすすめの回は「第26話 地球ゼロアワー」です。洋画の「24 -TWENTY FOUR」のようにリアルタイムの時間表示で物語が進んでいきます。今でも見られますね。読み物としては「サイボーグ・ブルース」の電子書籍版がおすすめです。

 

さて一方、ハリウッド映画やアメコミの世界はどうでしょう?

アイアンマン 原作 スタン・リー

自社兵器のデモ実験に参加したトニー・スタークは、テロ組織に拉致され兵器の開発を共用されてしまう。
だが、天才発明家でもある彼は、敵の目を盗み、戦闘用パワードスーツを作り出し、脱出に成功。
その後、自社兵器がテロ組織に悪用されていたことを知り愕然としたトニーは、最先端の技術を駆使し圧倒的な破壊力を持つ新たなパワードスーツを開発。
テロを撲滅するため“アイアンマン"となり、命をかけて戦うことを決意する!

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拉致の際の怪我が元で、熱プラズマ反応炉「アーク・リアクター」を心臓付近に埋め込んでいなければ生きていけない代わりに、毎秒3GJ(ギガジュール)という原発2基分以上のパワーを持ち、それでパワードスーツ「アイアンマン」を動かして大活躍する、世界的な大ヒット作品です。

  • 動力源はよくわからないんだけど、とにかくすごいパワー
  • 思いっきりG(重力)がかかってる割りにトニーさんの体は結構平気っぽい!
  • スーツのメンテナンス? ああ、とりあえずそこらへんの兵器からかっぱらって修理するから大丈夫だ(トニー・スターク風に)

ちょっとアバウトというか、科学考証的に突っ込みどころ満載なのですが……

かっこよければ全部オッケー! 大衆作品として大正解! ザ・ハリウッド!!

スペースシャトルに乗って、ぜーったい降りられるはずのない隕石に着地しちゃうようなノリですねつまりは(by アルマゲドン)。

だからこそ今でも大人気、ロバート・ダウニーJrさんの当たり役!とまで言われる作品なのですよ。

頭を空っぽにして楽しむ作品! だがそれがいい!

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