情報科学芸術大学院大学「IAMAS 2019」へ行って、メディアアートの可能性を体感してきました!(1・現地レポート)

行ってまいりましたー!

岐阜県にあります大学院大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]は2月21日から24日までの日程にて、第17期生による修了研究発表会および2018年度のプロジェクト研究発表会「IAMAS 2019」を開催しました。

先週ご紹介させていただきましたとおり、VRonは取材でお邪魔させていただきました。2日間に渡りじっくりと研究発表を拝見させて頂きましたよー! 今回から数回に渡りまして、「IAMAS 2019」の展示・研究・活動についてご紹介させていただきます。まずは当日のレポートから!

「IAMAS 2019」現地レポート

やってきました、大垣へ!

今回初めて首都圏を飛び出しまして、大垣駅から車で10分ほどにあります「ソフトピアジャパン・センタービル」へ移動します。こちらソフトピアジャパンに入っているのが「IAMAS(情報科学芸術大学院大学)」。岐阜県の情報産業拠点ソフトピアジャパンプロジェクトの一環として、1996年に岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(専修学校)として開学。その後2001年に修士課程のみの大学院大学としてIAMASに改組し、現在に至ります。

今回はその修士課程を終える第17期生の皆さんによる修了作品を中心に、大学内で行っている各プロジェクトの発表や、関連企画の展示・トークイベントなどが行われました。

エスカレーターを上りエントランスに到着すると、今回のパンフレットをモチーフにしたインスタレーションが! 写真で伝わらないのがもどかしいところですが、こちらの看板・パンフレットの右下にあります桃色の部分には特色が使われていて、発色の素晴らしさ・インパクトも相まってとっても印象的でした。

こちらがメイン会場の様子。会場内のアーキテクチャデザインやタイポグラフィがとってもミニマムに作られていて、非常に優しい空間だなあ、という印象を強く感じました。

決して禍々しくなく、それでいて主張するところははっきりと主張する。「静と動」みたいなメリハリをつけるのではなく、テーマとなっていた「場違いの場所で」という言葉の持つ「ささやか」な逸脱感をさり気なく感じ取れる……みたいな「チョウドイイ」感じ。

とにかく、居心地が良かったんですよ! 設営に使われている素材のチョイスや設計などにも細やかな気配りが感じられ、展示や発表に対してじっくりと集中できる雰囲気が、とっても心地よかったですねー!

個人的にとっても気になった展示がありましてね。

これは「有線放送電話」という、農業協同組合(総合JA、専門JA)・漁業協同組合・市町村などの地域団体によって設置される地域内の固定電話兼放送設備網に関する資料です。「有線放送電話」はこれまでに全国各地で運営されてきまして、中にはISDN~ADSLレベルのインターネット接続まで提供したケースもあるんですよ。

上記写真は、岐阜県揖斐郡池田町で実施されていた有線放送電話「池田町有線放送電話」の資料。NTTの電話網とも、テレビ・ラジオの電波を使った放送網とも、そしてインターネットとも違う、地域に完全に密着した有線通話と音声放送が実施されていたんです。

残念ながら、池田町有線電話は一昨年の3月31日をもって電話・放送・通信業務を終了。テーブル下部の真ん中には、サービス終了のアナウンス原稿が展示されていました。

実はね、筆者の父の故郷である長野県上伊那郡辰野町にも、この有線放送通話が展開されていたんです(今はケーブルテレビに置き換わったそう)。子供の頃、田舎の家でよく聞いていたテレビでもラジオでも、インターネットでもない、でもとっても味わい深くて懐かしい「メディア」に、筆者はIAMAS 2019の一角で、再び出会うことができたんです。嬉しかったな……!

え!? VRonWEBMEDIAと関係ないじゃんって? とんでもない! VR(XR)も有線放送電話も、「コミュニケーションメディア」という意味では同じ種類のものですよ。

IAMASさんが、かつて地域の重要な「インタラクティブ・メディア・インフラ」として機能を果たした池田町有線放送電話を、今の時代に追いかける……という視点は、非常に合点の行くものであります。筆者はこの展示の前で、子供の頃に感じた「メディアの記憶」を、しばし手繰り寄せておりました……。

もちろん、VRonWEBMEDIAの本領であります「拡張現実」などを主題とした研究も盛んに行われておりました。一つ一つの研究が個性的で、さらっと流して紹介するのがほんっとにもったいないんです!

次回以降、詳しくご紹介してまいりますよ。ぜひご期待くださいませ!(何回で終わるのやら……)

こちらは筆者が先週の紹介記事でもっとも注目しておりました「NxPC.Live」の一コマ。担当の先生ともお話させていただきましたが、参加されている皆さんがそれぞれのアイデアを十二分に発揮した空間を構築している姿が、とっても瑞々しくて! この空間も心地よかったですねー。

2日目に行われました最後のトークイベント「YCAM vs IAMAS」は、山口情報芸術センター(YCAM)の皆さんを招き、メディア・テクノロジーを用いた新しい表現や学びを探求し、次世代の人材育成を担うYCAMさんとIAMASさんの取り組みや将来について熱いトークセッションが行われました。こちらのお話を伺いながら、後ろ髪を引かれつつ取材は〆。楽しかったー!

「最先端」に囚われることなく、自らのテリトリーを「横断する」勇気

いやー、得るものが盛りだくさんの取材でございました!

学生の皆さんとお話していて、とっても強く感じたことがあります。それは、我々VRonが普段追いかけているような「最先端技術」と接しながら、全くそれに囚われることのないスタンスを貫いていらっしゃる、ということ。

修了生の皆さんの発表は、どちらも個性的な内容のものばかりでした。とある展示ではARkitやVRHMDなどのXR技術が駆使されていたり、センシング技術を活用したインスタレーションがある一方で、まったくそういった技術を使わずに「紙とペン」だけで成立させている発表も多くあるんですね。

とにかく「技術的なベクトルがものすごい勢いで四方八方へ広がっていく中で、皆さんの展示一つ一つがぶっといメッセージやコンセプトを湛えている」様が、見ていてとっても心地よかったんです。安心できると言ったらいいのか、どっしりとしていると言えばいいのか、なんかそんな「安堵感」に包まれた空間が、IAMAS 2019には広がっておりました。

IAMASさんにとっての「メディア・インスタレーション」に対する姿勢や思いが十二分に感じ取れたような、そんな展示でございました! 大垣まで来て、本当によかったです!

次回からは各展示について詳しくご紹介していきますよ。どうぞお楽しみに!

情報科学芸術大学院大学「IAMAS 2019」へ行って、メディアアートの可能性を体感してきました!(2・作品紹介その1)

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取材協力:情報科学芸術大学院大学 IAMAS事務局

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