この写真を撮影するのも6回目ですね!
7月16日、GREE VR Studio LabはVRに関する研究をベースにしたワークショップ「VRSionUp! #6」を開催しました。
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VRSionUp! #5へ行って、VRエンタテインメントにおける先端研究と「身体で表現する『Kawaiiムーブ』テクニック」を学んできました!
その日。筆者は六本木ヒルズにおりました!(5回目) 6月21日、GREE VR Studio LabはVRに関する研究を ...
毎回に渡り取材させていただいております「VRSionUp!」。今回はテーマが「先端ボイチェン研究」ということで、「声」をフィーチャーした内容になりました。今回も応募開始から参加申し込みが殺到し、最大倍率は定員の3倍! 大人気でございましたよー!
では、毎回恒例となりました当日の模様をダイジェストでご紹介しましょう。なお、当日の模様はイクスアール株式会社さん協力のもと、YouTube Liveで配信されましたので、以下のアーカイブ動画と当日使用されました資料・公式のアルバムをご覧頂きながらどうぞ!
(2019/7/16) VRSionUp! #6 先端ボイチェン研究
https://www.youtube.com/watch?v=Nzx6EezDLfoVRSionUp! #6 資料(SlideShare)
https://www.slideshare.net/vrstudiolab/vrsionup6-slideshare-156082977/当日の様子を伝えるアルバム
http://bit.ly/VRSIONUP6album
さて、これも毎回恒例となりました、今回の裏テーマは!
「声のVR」。それでは本題に入ります!
「ボイストレーニング講座」(ボイストレーナー 吉岡研一郎 先生)
まずはボイストレーナー吉岡研一郎さんによる「ガチ」のボイストレーニングが始まりました! 吉岡さんはシンガーソングライター、ミュージシャンとして活躍される一方、2009年からボイイストレーナーとしての活動を開始、音楽系専門学校・ボーカルスクール・カルチャースクールなどでメジャーアーティストを含む、老若男女を問わずレッスンを受け持っています。
一般社団法人ボイストレーナー連盟勉強会の講師や音楽スクール以外にも、青年会議所セミナーや特別支援学校、企業でのビジネス向けボイストレーニングなどでも講師を務めるなど、幅広い分野でボイストレーニングの講師をされていらっしゃるんですねー。
いやー、このボイトレが筆者の想像上に「ガチ」でございまして、まずストレッチから始まり、続いて腹式呼吸、そして実際に声を出してのトレーニング……と、これだけで十分お金が取れちゃうレベルのレクチャーが行われました。ボイスチェンジのためにはまず声の鍛錬から……というこの試みは非常に素晴らしい内容だったのではないかと!
写真だけではどうにも伝わりませんので、ぜひ当日の配信を御覧くださいませ。筆者は後日自宅で配信を見ながらやってみたのですが、すっげー汗かきました! 運動としてもおすすめ!
(2019/7/16) VRSionUp! #6 先端ボイチェン研究
https://www.youtube.com/watch?v=Nzx6EezDLfo
「先端ボイチェン研究」
続きまして、明治大学 総合数理学部先端メディアサイエンス学科 森勢将雅 先生による「アルティメット☆Vocoder」、東京大学 大学院情報理工学系研究科 高道慎之介 先生による「統計的ボイチェン研究事情」の発表が行われました。
「アルティメット☆Vocoder」(明治大学 森勢将雅 先生)
まずは明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科、森勢将雅先生による「アルティメット☆Vocoder」。
森勢将雅先生は、「人間の知覚情報を活用した音声分析・合成・デザイン」をテーマに研究を続けられており、明治大学には今年の4月から所属されています。音声・歌声情報処理、音声知覚、音声デザイン音声・分析変換合成システム「WORLD」を開発されていることで知られ、ソースコードが公開されている「WORLD」は様々な音声変換ソフトウェアに使用されています。
GREE VR Studio Labさんの「転声こえうらない」には、この「WORLD」が使われているんですね!
今回森勢先生が紹介されたのは「ヴォコーダー」の視点から見たボイスチェンジに関する仕組み、歴史、そして現在の研究内容について。ヴォコーダーとは、音声の波形を直接送るのではなくパラメータ化して送り、受信側でそれらのパラメータから元の音声を合成する技術のことで、森勢先生はミックスジュースを例えにして説明されていました。
森勢先生は、「音声の波形から高さと音色を高精度に取り出せば、人間の音声をほぼ等価な音声合成が可能」「声の「性別変換」には「元話者の話し方の癖が重要」」「特定の他者への変換は難しい」「ヴォコーダーで扱える音声は、人間が発生できる声の一部」である、と締めくくりました。
「統計的ボイチェン研究事情」(東京大学 高道慎之介 先生)
つづいて、東京大学大学院情報理工学系研究科の高道慎之介助教が登壇、「統計的ボイチェン研究事情」という発表が行われました。
高道先生は、2011年に長岡技術科学大学を卒業.2013年・2016年それぞれに奈良先端科学技術大学院大学 博士前期・後期課程を修了.2018年より現在の東京大学助教に就任されています。主に音声合成変換、音声信号処理の研究に従事されており、研究分野は音声合成変換、音声信号処理、音声なりすまし検出、深層学習、音声コミュニケーション拡張など。
本日の招待講演「統計的ボイチェン研究事情」のスライドを公開しました. #VRSionUp https://t.co/M2D19dtgCL
— Shinnosuke Takamichi (高道 慎之介) (@forthshinji) July 16, 2019
今回の講演内容については高道先生が自らスライドを公開されていますので、ぜひご一読を!
高道先生からは、現在研究されている「特定の他者にリアルタイムでなりきるボイスチェンジャー」や「他人との声のつながりを見つけるボイスグラフ」など、最先端の研究が紹介されました。特に「特定の他者にリアルタイムでなりきるボイスチェンジャー」については、現在のレベルでレイテンシー(遅延)が50ms以下だそうで! すごいですねー。
クロストーク「先端ボイチェン研究」とシンギュラリティ(仮)
このあと行われクロストークでは、「先端ボイチェン研究」とシンギュラリティと題し、「#声のVR」をテーマにトークが繰り広げられました。
約30分に渡りまして濃厚なトークが繰り広げられましたが、一番印象的だったことは、吉岡先生による「アナログ」からのアプローチと、森勢先生・高道先生による「デジタル」からのアプローチという2つの側面から多面性なトークが行われたことでした。声というものがそもそも人間の体の構造から生まれ、それを現在の最先端技術により別の性別、はたまた他人の声に変えていく、という点を中心に、現在様々なアプローチが紹介されました。非常に濃い内容でした……!
クロストークの内容については、ぜひ当日の配信を御覧くださいませ!
(2019/7/16) VRSionUp! #6 先端ボイチェン研究
https://www.youtube.com/watch?v=Nzx6EezDLfo
ライトニングトーク・GREE VR Studio Lab研究報告・中の人LT
この後は毎回恒例! ライトニングトークが行われました。今回のラインアップはこちら。
発表者 | タイトル |
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やはぎ @yahagi_day | 「2018年活動報告+2019年Unityライブ計画」 |
FAIO(平山 湧也) @FAIO1230 | 「VRライブ・クラブに大切な要素について」 |
山田裕介 @y_chu5 | 「クロスプラットフォームなリアルタイム声質変換するアプリケーション作ってる話」 |
Toshifumi Sasaki @30eesti | 「ヘルスケア領域におけるコミュニケーション支援アバター」 |
廣芝 和之 @hiho_karuta | 「声質変換を使ってイベントした話か、リアルタイム声質変換OSSを公開した話」 |
あず㌠ @ta_ru_ku_ | 「bilibiliのVTuber事情-その2」 |
amt @amt00 | 「これVRAAに出してみた。」 |
じょんこさん @john_amachi | 「VRChatより(タイトル準備中)」 |
石原達馬(GREE開発本部) | 『転声こえうらない』開発秘話・ボイチェンのその先(仮) |
この中から……
あまちじょんこさんによるVRChatからのプレゼンをご紹介。あまちじょんこさんは「両声類」(男性、女性の両方の声を出せる方)として活動をされておりまして、オフ会の開催やハウツー本の制作、配布をされているなど広範囲な活動をされています。両声類、というと歌い手さんの世界では「赤飯」さん(オメでたい頭でなにより / コロナナモレモモ)、VTuberの世界では「ふぇありす」さんが有名ですね!
VRchat と実会場発表の同時に挑戦!#VRSionUphttps://t.co/6c6I4RSwkM pic.twitter.com/xrcUng4oDh
— Akihiko SHIRAI, Ph.D #EnjoyStayHome🦠 (@o_ob) July 16, 2019
また、VRSionUp!でVRChat関連のボランティアを担当されているamtさんが、VRChatと現場との同時発表にチャレンジ! Oculus Questを駆使して果敢に挑戦されておりました。グッジョブ!
ライトニングトークの最後はGREE開発本部の石原さんによる、「転声こえうらない」開発秘話と現在の研究についての発表。非常に面白い内容でしたので、ぜひこちらについては配信とスライドで追いかけていただきたく!
(2019/7/16) VRSionUp! #6 先端ボイチェン研究
https://www.youtube.com/watch?v=Nzx6EezDLfoVRSionUp! #6 資料(SlideShare)
https://www.slideshare.net/vrstudiolab/vrsionup6-slideshare-156082977/
GREE VR Studio Lab研究報告などなど
最後は前回も行われました、グリーさんにて実施されているインターンについての総合的な紹介も行われました。上記写真はGREE VR Studio Labで行われているインターン募集。詳しくはYouTubeの動画、及び資料スライドからどうぞ。
そして……白井さんから大事な発表が……!
えええええ! VRSionUpは今回で一旦最終回!?
しかし! 「みなさんのVRを世界に拡張していくメディアになっていく」とのことで、今後は新たな展開を考えていらっしゃるそう。今後についてはGREE VR Studio LabさんのYouTubeチャンネルにて告知されていくそうですので、ぜひそちらをチェック!
GREE VR Studio Lab YouTube Channel
http://j.mp/VRSYT
また、いよいよ来週に迫りました「Virtual Beings WORLD in SIGGRAPH 2019」についても再度紹介されました!
全世界から有数のVTuberがエントリーした「World VTuber ShowCase」も開催されます。今週改めてこちらについてもご紹介をさせて頂く予定ですので、そちらをお楽しみに!
エントリーされているVTuber動画の全再生リスト、そして当日の配信の模様などは以下からどうぞ!
「World VTuber ShowCase」全エントリーリスト(リストは人気順(再生回数順)に並んでいます)
http://bit.ly/WVS19「Virtual Beings WORLD in SIGGRAPH 2019」配信URL
https://www.youtube.com/watch?v=xQ-25E_3qsU
というわけで、半年に渡って取材させていただきました「VRSionUp」が一旦の最終回を迎えました。回を追うごとに参加者も増え、他の勉強会にはないフランクでやわらかな雰囲気がとっても心地よく、それでいて紹介されている内容はバリッバリの最先端!というのが非常に痛快でありました。
今後さらなるブラッシュアップを加え、新たなフィールドを含めて"シーズン2"を検討されているようですので、ここは白井さんの次の展開に期待したいところです。まずは来週の「Virtual Beings WORLD in SIGGRAPH 2019」に注目せねば! VRonは当日の模様を日本からTwitter・こちらのサイトにて実況更新してまいりますので、そちらもお楽しみに!
取材協力:GREE VR Studio Lab