Youthのチカラ コラム

情報科学芸術大学院大学「IAMAS 2019」へ行って、メディアアートの可能性を体感してきました!(5・プロジェクト紹介)

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岐阜県にあります大学院大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]が2月21日から24日までの日程で開催しました、第17期生による修了研究発表会および2018年度のプロジェクト研究発表会「IAMAS 2019」。各研究発表・展示についてご紹介していますが、今回がいよいよ最終回。

最後は、IAMASで行われているプロジェクトと、その作品のいくつかをご紹介してまいりましょう。

情報科学芸術大学院大学「IAMAS 2019」へ行って、メディアアートの可能性を体感してきました!(4・作品紹介その3)

岐阜県にあります大学院大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]が2月21日から24日までの日程で開催しました、第17期生による修了研究発表会および2018年度のプロジェクト研究発表会「IAMAS 2 ...

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あしたをプロトタイピングするプロジェクト

あしたをプロトタイピングするプロジェクト」は、社会課題を抽出し、その課題に対する応答としてアイデアからプロトタイプを実現していくことにより未来像を創出し、あしたについて考えていく研究プロジェクトです。

これまでにIAMASで編み出したプロトタイピングメソッドやアイデアスケッチなどを試行しながら、その思考ツールやデザインプロセスも含め同時に研究対象として検討いるそう。

プロジェクトでは各人がひとりで作るだけでなく、学生同士あるいは教員も含め共創することを体験し、プロジェクトを自分たちで推進するための方法論の獲得も含み研究を進めています。

今回は、愛知県児童総合センターにて実施した「メディア実験室」にて、子どもと大人に向けて「遊びを通じたプログラミング的思考を考える場の試行」を目的としたふたつの作品を中心に展示が行われました。

鈴木 毬甫「うごリング」「不安定を生むスツール」

こちらのプロジェクトからは、鈴木毬甫(まりほ)さんの作品を案内していきましょう。これは「うごリング」。

加速度センサーの値に応じて音色が変化するガジェットを、身体の様々な部分につけて遊ぶ玩具として制作されたものです。「観察・発見する」「ガジェットを体験している人もそれを見ている人も楽しめる」「意図しない身体の動き」をテーマとして制作されたとのことで、音の変化を観察しながら身体を動かすうちに意図しない動きを引き出し、身体への探求を促す、としています。

静止画では伝わりにくい! ということで、実際に展示されている様子を動画でご覧頂きましょう。

「うごリング」を動かすと、うごリング自体が奏でている音が変わっていくんですね! このうごリングを全身につけてダンスを踊れば、様々な音が重なり、動きに応じてその音色を変える、という仕組みです。

こちらは鈴木さんが公開されている紹介動画。お子さんがうごリングをつけながらはしゃいでいる姿が微笑ましいですね!

また鈴木さんは「不安定を生むスツール」という展示もされていました。こちらはスツール状のオブジェクトが微妙にゆらゆらと不安定に動き続けるも、それでも自立を続ける、という作品です。

鈴木さんはIAMASのサイトにて

暮らしの中で形成されていったものの形状と機能についての興味や、人とものの関係についての関心を深めるための制作。スツールの形状に含まれている従来の要素を様々な方法で無くすことによって、スツールと人との関係を再考する。

との言葉を寄せています。見ているとものすごくゆーっくりとフラフラしていて、それがものすごい「不安感」を見る人に印象づけます。本来スツール、つまり「椅子」は、人が「安定して」座るもの。その椅子から「安定感」を取り除く、という試みが非常に面白い作品でした。

体験拡張環境プロジェクト

「体験拡張環境プロジェクト」は、 文字通り「体験を拡張するための環境」をテーマにしたプロジェクトです。

このプロジェクトでは人間の体験が拡張される環境を創出するための研究を行っています。特にリアルタイム時空間、インターネットなどの情報空間、センサー環境や深層学習によるAIなどを対象として、未来を見据えた体験を実現するために、利用可能な技術を駆使することで実践的な適用も考えた上で展開をしているとのこと。

こちらではXRの技術が多く採用されていて、VRon的には魅力あふれる展示が並んでいました! その中から……

伏田 昌弘「Face Session」

伏田さんはコンピュータの操作方法に焦点を当て、新しい演奏手法を提案しています。写真に写っているのは、スマートフォンやタブレットなどの端末が、見る者の顔の輪郭情報抽出と感情(怒り)の AI解析を行いながら双方を組み合わせることで、演奏手法の拡張を行う、としています。

これが起こった表情をしたときの写真。お! 表情が変わると同時に色が変化しつつ、流れている音が変わりましたね! 顔のパーツを動かすことによって演奏をしていく、というイメージが近いです。

当日は伏田さんに実演していただきました。「感情のAI解析を取り入れることで、見る人が「自分の感情で演奏する」という新しい感覚を得ることができる」とのこと。

伏田さんはこの作品で、2018アジアデジタルアート大賞展FUKUOKAにおいて「学生カテゴリー/インタラクティブアート部門優秀賞」を受賞されています。今後の活動に期待ですね!

あたらしいTOYプロジェクト

「あたらしいTOYプロジェクト」は、参加している学生がそれぞれで選んだテーマを巡り、「作る」「伝える」「考える」の3つの過程を循環しながら新しいクリエイションのあり方を模索していく、というテーマで活動を行っています。

制作にあたっては既存のジャンルから想起される「らしさ」や「~であるべき」にとらわれることなく各自の興味を十分に掘り下げたうえで制作を行い、違う専門の立場からお互いの制作を評価し合いディスカッションを行っているとのこと。毎週各自が習作を持ち寄って、お互いにレビューを行いながら、次の習作へ反映する……というサイクルを回すことで研究を行っているそうですよ。

その中から、最後にこちらの作品を。

佐々木耀「AntisocialVR」

こちらは佐々木耀さんによる「AntisocialVR」。

「公共空間でひきこもるためのVRアプリケーション」と銘打たれている作品です。IAMAS 2019の展示空間を「公共の空間」に見立て、その中で「外部環境を遮断する装置」としてHMDをかぶり、HMD内に投影されているPC画面で作業を行うことで、パブリックな空間とプライベートな精神状態を同時に出現させる、という試みを行っています。

作品の構造はとってもシンプルなのですが、実際にHMDをかぶって、画面に表示されているアプリ(アプリそのものはとっても単機能なものです)でマウスを使いながら作業を行っていると、佐々木さんが目指す「状態」が成立していることにふと気付かされる瞬間が訪れます。それはなんとも奇妙な「気付き」です。

我々が仕事柄身近なものとして接しているHMDで見る空間において、このような表現をダイレクトに提起できる、というのはとても大きな発見でした。体験者がVRという仕組みに慣れていればいるほど、その「気付き」も大きくなる構造にもなっていて、非常に考えられた上で作られているなあ、と感心することしきりでした。

 

というわけで! 5回に渡ってお送りしてきた「IAMAS 2019」レポート、いかがでしたか?

これからもVRonでは、「Youthのチカラ」を合言葉に、学生の皆さんが日本中だけでなく、世界を舞台に奮闘している姿を皆様にお届けできればと思います。今後も取材を重ねていく所存ですので、どうぞお楽しみに!

取材協力:情報科学芸術大学院大学 IAMAS事務局

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