中止・ネット開催になった欧州最大のVRフェス「Laval Virtual」と開催地「ラヴァル」に寄り添う活動がスタート「 #CourageLavalVirtual 」

国境を超えて、XRの絆がつながっていきます。

欧州最大のVRフェスティバル「Laval Virtual」に招待、出展を予定していた研究者・OB・関係者など有志の方々の手によって、本年度が中止・ネット開催に舵を切った「Laval Virtual」、および開催地である「ラヴァル」に関するFaceBookページ「#CourageLavalVirtual」が立ち上がり、共同で製作された動画がYouTubeにて公開されました。

「Laval Virtual」は、20年以上の長きに渡りフランスで開催されている、欧州最大級のVRフェスティバル。世界最大のCG国際学会「SIGGRAPH」と比肩されるほど、XRの世界では重要なイベントです。

特にこのイベントの大きな特徴が、開催される都市「Laval」との地域的な結びつきです。町を挙げてこのイベントを推進し、町中の方々がこのイベントに参加しながら、20年の長きにわたり続けられてきました。町ぐるみの取り組みがこのイベントに独特の牧歌的・有機的な連帯を生み、このイベントに熱い思いを持ちながら参加を続けられている方も多いと聞きます。

そんなLavalも、残念ながら新型コロナウィルス禍には勝てず、本年度の開催を中止、代わりに「Laval Virtual World」として、現地時間で4月22日~24日の日程でネット上で開催されることになっています。

 

そんな中、「Laval Virtualのチームの人を、それからLavalに住んでいる人たちに寄り添いたい」と考え、立ち上がったのが「#CourageLavalVirtual」です。立ち上げたのは、多摩大学の出原至道先生(写真左)と立命館大学の大島登志一先生(写真右)。もともとLaval Virtualに参加する日本人グループである「Laval Virtual from Japan」にて呼びかけられ、共感された皆さんが参加されています。

出原「日本とは比べ物にならないプレッシャーの中で、前向きに明るく頑張っているLavalの人たちに対して何ができるのか考えたとき、浮かれることなく、私たちの連帯を示すことが、いまの私たちにできる精一杯のことだと思いました。(中略)私が考えているこのページの軸は、「わたしたちはあなたがた(ラヴァルの皆さん)のことを思っています」という気持ちです。私にとっては(このページが)世界中から感謝と希望が届く場所になってほしい、そしてそれを続けていきたいと思っています。」

大島「フランス・ラヴァルの方々との交流が気が付けば10年以上、毎年ラヴァルの友人と会えるのが当たり前、と思っていました。でも、今は、フランスも日本も、世界も日常も、そんな状況ではなくなってしまって。こんな今だからこそ、普通にくつろぎながら、つながれる場があれば、と思ったのです。特別な場でなく。例えば、Laval Virtualの会場には、中央にラウンジスペースがあって、いろいろな人が交流できるんです。また、会場は丘の上なのですが、下った町中に「オレガンズ」というアイリッシュ・パブがあって、夜になるといつも、参加者がだれそれとなく集まって盛り上がっているのです。#Courage Laval Virtual は、今年は失われた、そんな交流の場になれば良いなと思った次第です。」

対象は日本人に限定することなく、Laval Virtualやラヴァルに想いのある方に国境を問わず参加してほしい、とのことです。

早速このページから様々なメッセージを出されている方がいらっしゃいます。ある方はご自身の活動や採択された発表を記録として残したり、ある方はラヴァルでの思い出が詰まった写真をアルバムにまとめたり、そしてある方はラヴァルへの真摯なメッセージを動画にしたためたり……と、様々です。

その中からおひとり、2020年のLaval Virtualに採択され渡仏の準備をされていた、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)などで研究を続けている木村正子さんによる動画をご紹介しましょう。こちらです!(ショートバージョン)

木村正子さん(上写真、上段真ん中)、昨年のIVRC2019では上の写真のメンバーによるチーム「Internal Space」にて書類選考を突破し、予選大会に進出。

「Re:born〜生まれる体験出産VR〜」を出展されました。VRonでもご紹介させていただきましたね! そんな木村さんが作ったのがこの動画、というわけ。

https://www.facebook.com/groups/couragelavalvirtual/permalink/230686424717585?sfns=mo

Laval Virtual で展示する事は私たちチームの大きな目標でした。 写真や資料、動画、ホームページ、Lavalに参加した人たちの話や情報を集め、とても楽しく、素晴らしいLavalへ作品を展示しに行く事を心から楽しみにしておりました。

そのために、大学院へ入学した一年前から作品の制作準備をし、作品の資金を貯めるために昼間は会社で働き、夜と土日に仲間と集まり作品を制作しておりました。 私たちチームにとって、初の海外展示がLaval Virtunalになる予定でした。 仲間5人でフランスでVRの展示をし、フランス・ヨーロッパの人たちと作品を通じたコミュニケーションができることを心から楽しみにしておりました。

私たちチームはフランス・ヨーロッパの人たちの感性に触れたり、作品に対するディスカッションを通じてより面白いVRの作品を生み出したいのです。そして、来年Laval Virtual 2021ではVR作品を通じたコミュニケーションができる事を楽しみにしています。
必ずLavalでお会いしましょう!楽しみにしています!

FaceBookグループ・木村さんの投稿を引用

そんな「彼女なりの答え」がこの動画に詰まっていると言えるのではないでしょうか。動画全体を彩る桜の花びらがとてもキレイですね!

この動画にてコーディネーターとして名を連ね、同FaceBookグループやLaval Virtual from Japanのメンバーであるグリーの白井暁彦さん(しらいはかせ)も動画を紹介されています。「Laval Virtual World」は現在でも参加受付中。カンファレンス・イベントなどがすべて無料でVR空間上にて開催される予定です。木村さんは22日のポスターセッションに参加されるそう。気になる方、ぜひぜひご参加を!

神奈川工科大学 山崎洋一先生ご提供

この新型コロナウイルスに振り回されている世の中で、自分ができることはなんだろうか。おそらく、皆さん誰しもが考えられるところだと思います。その中で、Laval Virtualに関わられてきた皆さんの思いがグループの投稿から伝わってまいりました。皆さんとラヴァルという町・Laval Virtualというイベントを結ぶ「絆」となって、このグループが懸け橋になっているかのようでした。

さて、今回このお話を頂いたご縁から、参加されている皆様からオンライン上にてお話を伺うことができました。

  • 多摩大学 出原至道先生
  • 立命館大学 大島登志一先生
  • 神奈川工科大学 山崎洋一先生
  • 立教池袋中学高等学校 内田芳宏先生
  • 北陸先端科学技術大学院大学 木村正子さん / 「 Internal Space」の皆さん

次回の「後編」では、皆さんぞれぞれの思う「ラヴァル」について、じっくりとご紹介させていただければと思います。お楽しみに。

取材協力:多摩大学 出原至道先生 / 立命館大学 大島登志一先生 / 神奈川工科大学 山崎洋一先生 / 立教池袋中学高等学校 内田芳宏先生 / 北陸先端科学技術大学院大学 木村正子さん / 「 Internal Space」の皆さん

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