株式会社ジャパンディスプレイは10日、VRヘッドセット向けの3.25型1001ppi低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイを開発したことを発表しました。
昨年12月に予告されていた「1000ppi」越えの液晶ディスプレイ、いよいよ正式発表
昨年12月、ジャパンディスプレイさんは「3.6型803ppi低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイ」の開発を発表しましたが、その際に「来年(2018年)上期には1000ppiを超える液晶ディスプレイを開発する」としていました。今回の発表でそれを裏付けた形となります。
ppiって何? という方もいらっしゃると思いますので、ご説明しましょうか。まずは今回発表された参考画像をご覧ください。
ppi、というのは「pixel per inch(ピクセル・パー・インチ)」の略で、1インチ(25.4mm)あたりのピクセル数を表します。数字が多ければ多いほど、細かい表示ができる、と考えれば間違いありません。
とはいえ、これだけではイメージが湧きませんよね……。
Vive Proをも超える、より「人間の目」に近づいた「超解像度液晶」
というわけで、スマホのディスプレイや、現在リリースされているVRゴーグルの解像度と比べてみましょう。
- iPhone 8 / 8 Plus … 326ppi
- PlayStation VR … 386ppi
- iPhone X … 458ppi
- Oculus Rift / HTC Vive(廉価版) … 461ppi
- Mirage Solo … 534ppi
- Oculus Go … 538ppi
- Galaxy S8(Gear VR) … 570ppi
- HTC Vive Pro … 615ppi
- 今回のディスプレイ … 1001ppi
実際は液晶の表示方式や視野角などの違いもあり単純な比較をするのは難しいのですが、純粋な解像度の点で今回発表された液晶ディスプレイが如何に細かいものであるのかがお分かりかと思います。
これだけ細かくなったことに加え、今回の製品は画素の応答速度を4.5ミリ秒から2.2ミリ秒に改善しているそうでございまして、応答速度が低い液晶で発生する「画像のぼやけ」を抑制しているそう。さらにリフレッシュレートも120Hzまで高めることに成功しています。
各メーカーがこぞって取り組みし烈を極める、ディスプレイの「超解像度化」
では、この「超解像度化」がもたらすものは何だと思いますか?
例えば、VRゴーグルに取り付けるディスプレイが高解像度になればなるほど、こんな効果が期待できます。
- より人間の目で見たときに近い感覚を得やすい
- VRゴーグルをより小さくできる
特に「VRゴーグルをより小さくできる」のが大きなポイントです! 人間の目はだいたい300ppiもあれば液晶のドットを認識できなくなると言われています。ほら、今のスマホって液晶のギザギザが見えないでしょう? あれは、人間の目の解像度を液晶が超えているからです。
ただ、VRゴーグルの場合はちょっと事情が異なりまして、既に細かい解像度のディスプレイを内部のレンズで拡大表示しています(それもかなり大きく!)。だから、OculusやHTC ViveなどのハイエンドなVRであっても、よーく目を凝らせば液晶のドットが認識できるんですね。
昨年末に800ppiを超えたジャパンディスプレイさんも、
VR-HMDをより小型軽量化するためには、ディスプレイをより小さく、レンズ倍率をより大きくする必要があります。800ppiの精細度では不十分であり、1000ppi以上の更なる高精細化が求められています
として、今回の発表に至っている、というわけ。
この「1000ppi超」という解像度については、例えばシャープさんが「1008ppi」という解像度のディスプレイを2016年のCEATECにて参考展示していたり、Googleさんが1443ppiの有機ELディスプレイを今年のSIDで発表するかも、みたいな記事も去年に出たりしていて、し烈な開発競争が行われているところ。
ジャパンディスプレイさんも、その「SID 2018」(5月22日~24日・ロサンゼルス)にて今回のディスプレイを展示する予定で、今年度中には量産体制に入る予定とのことです。VRゴーグルの進化に不可欠な「ディスプレイの進化」が今後どのようになっていくのか……、引き続き注目していきたいですね!