大日本印刷株式会社(DNP)は2日、独自開発したVR制作技術を活用して、展覧会の会場を歩いているかのような体験ができるVRコンテンツを制作したことを発表しました。
「DNPバーチャルギャラリー」など独自のアプローチを貫く大日本印刷の「次の一手」
-
大日本印刷、VRミュージアムコンテンツシステム「DNP Virtual Gallery(バーチャルギャラリー)」を開発
大日本印刷株式会社は10日、HMDを装着して、VRの空間に作られた仮想の美術館で、彫刻などの立体作品や絵画を手に取っているかのように鑑賞できるシステム「DNP Virtual Gallery(バーチャ ...
これまでにHMDを装着して、VRの空間に作られた仮想の美術館で、彫刻などの立体作品や絵画を手に取っているかのように鑑賞できるシステム「DNP Virtual Gallery(バーチャルギャラリー)」など、独自の視点とアプローチでXRにおける展開を進めてきたDNPさんですが、今回発表されたのは、「自由視点VR」に近い視点の新たなコンテンツ技術です。
「自由視点VR」とは一般的に、VR空間の中で1つの視点にとどまらずに複数の視点に切り替えたり、最終的には体験者が自由な視点からVR映像を閲覧できる技術のことを指します。これまでにもKDDIさんなどが独自の研究を行っていて、複数のカメラで同時に映像撮影を行い、体験者のいる位置を検知しながら3D演算を行って、体験者の視点から見えるはずのVR映像を描画する……などといったアプローチが各所で行われています。
また、「自由視点VR」の極北ともいうべき存在が「ライトフィールド」。百台以上のカメラで同時に映像を撮影することで、映像ベースの「6DoF」移動を可能にする試みが続けられていますね。
そんな中、DNPさんは「VR空間内における直線状の視点移動」を、たった「2枚の360度画像」だけで実現しちゃいました! まずは紹介映像からどうぞ。
本日発表された技術は、2つの地点で撮影した360度パノラマ写真からVR空間のデータを作成し、その2地点を結んだVR空間を移動しながら、360度の観覧ができるように表現する……というものです。
この技術の最大のポイントは、直線状に視点移動することができるVR空間を、わずか2枚の360度画像から生成することを可能にした、というところにあります。
例えばGoogleの「ストリートビュー」では地点ごとに360度のパノラマ画像を見ることができ、地点と地点の間をワープのように視点移動することができますが、2地点の間で静止し、その中間の画像を見ることはできません。その点このDNPさんが開発した技術では、撮影した2つの地点の間の映像を自動生成するので、あたかも空間内を「歩く」ような視点移動をすることを可能にしているんですね。
CCGA現代グラフィックアートセンター「ヘイセイ・グラフィックス展」内のVR空間コンテンツが本日より公開! 必見!
そんなDNPさんの新しいVRコンテンツが、3月1日(金)~6月9日(日)の日程でCCGA現代グラフィックアートセンター(CCGA:Center for Contemporary Graphic Art)(福島県須賀川市)で開催中の「ヘイセイ・グラフィックス展」内の映像をモチーフにして、本日からDNPさんの公式サイトにて体験可能になっております。
「ヘイセイ・グラフィックス」展の会場風景
http://www.dnp.co.jp/gallery/ccga/heiseigraphics/index.html
まずは上のリンクからぜひ試してみてくださいませ!
従来の写真やパノラマVRだけでは伝え切れないような、室内空間の雰囲気などを手軽に楽しめるVRコンテンツを制作できる技術として、今後も開発を続けられるとのことです。一般的な自由視点VRとはまた違った形のアプローチとなるDNPさんの今後の取組に、期待です!