Insta360の新製品は、やっぱり凄かった!!
8月27日(月曜日)、渋谷ヒカリエにて開催されました「Insta360 新商品 タッチ&トライ」にVRonがお邪魔させて頂きました。先日発表された「Insta360 Pro 2」の実機展示+プレゼンテーション+パネルディスカッションという内容で注目も高く、チケットは見事完売。たくさんの方々が会場に訪れていらっしゃいましたよ!
それでは、イベントの内容をガッツリとご紹介してまいりましょう!
「Insta360 Pro」は、VRコンテンツのすそ野を広げる存在となった
最初は、Insta360開発元でありますArashi Vision社のCEO・Jingkang Liuさん(写真左)と、株式会社ハコスコの代表取締役・藤井直敬さん(写真右)のお二人による、新製品「Insta360 Pro 2」のプレゼンテーションからスタートです。
まず、現在のVR市場について藤井さんが「VRはターニングポイントに来ている」と口火を切ります。OculusがリリースしたスタンドアローンVRHMD「Oculus Go」が2018年の第二四半期に30万台近く(289,000台)を売上げたそう(SuperData調べ)。
また、第一四半期から第二四半期にかけて主要VR機器の売り上げ規模が大幅な上昇傾向を見せていることを挙げ、「手軽なデバイスの登場により、今後VRマーケットが大きくなっていくのは十分予想されるところだと思います」と続けます。
「そこで、誰が『VR』というものを牽引していくのか、ということを考えると、それは明らかに『クリエーター』(作る人)だろう、とJK(Jingkang Liuさんのニックネーム)も、僕らも考えているんですね。クリエーターがいないところにはコンテンツは生まれませんし、(コンテンツが生まれなければ)VRというものは終わってしまうと」
「従来のVRでは、こういった部分のサイクルが回らなかったんだと思っています。いいコンテンツができて、それを使ってくれるユーザーがいて、さらにそれを活かすハードウェアが生まれる、といったサイクルです。今はそのサイクルが、ちょっとずつですけど回りつつある、ということですね」
「その上で、Insta360としてのポジションとは何かというと、クリエーターの皆さんが作品を作るお手伝いをしたい、と。
今までのVRコンテンツ制作というのはとにかく煩雑でしたが、それを「VRの映像」という意識を感じさせずに、『(VR動画を)撮ったら通常のビデオのように編集アプリケーションでいきなり作業ができるよ、そんなの当たり前じゃん!』……というような、今の我々が思ったこともないような環境を、彼らはほぼ実現させつつあるんです。これはすごいことだと思っています」(カッコ内は筆者による補足)
Insta360はコンシューマ向けからプロユースに至るまで、様々な用途に応じた製品をリリースしてきました。その中でも大きなエポックメイキングとなったのが、強力なスタビライズ(手振れ補正)機能「FlowState™」技術を備えた「Insta360 ONE」、そして今回のラインアップであるプロユース用途の「Insta360 Pro」です。
「特に『Pro』は、リリース当時(昨年初夏)の時点でこの製品に匹敵する他社製カメラはありませんでしたし、Pro自身も数々のソフトウェアアップデートを行うことでどんどん使いやすくなり、性能も上がっていきました。クリエーターも「もっと使いやすいカメラ」を求めていましたし、そういう点でProは、VRコンテンツのすそ野を広げる存在になったと思っています」
VRマーケットの増大については、Google・Facebook・Adobeといった大手企業の参入があることも大きいと藤井さんは話します。その上で……
すでに150以上の大手チェーン、3,000以上の小売業者、そして70以上の代理店がInsta360製品を販売しているとのこと。その中でもハコスコ社は、「Insta360 国内代表代理店(オフィシャル日本パートナー)」を務めています。
参考)https://hacosco.com/2017/12/insta360_partner/
つづいて、Insta360 Proを使った実例が紹介されました。かいつまんでご紹介すると……
こちらが「CNN VR」で行われた空中撮影の様子(クリックすると拡大します)。
Google Mapsの「ストリートビュー」でも昨年の末からサポートが始まっています。車の上に乗っかっているのが「Pro」ですね(クリックすると拡大します)。
また、藤井さんは最近の撮影使用エピソードとして「甲子園球場のベンチの上にProを設置して1日中撮影したところ、問題なく撮影できていた」という事例を挙げられていました。それだけProは「熱に強い、信頼できるカメラ」であるということを意味します。
このようなニーズの中、「クリエーターの皆さんにとって、(VRコンテンツの)制作作業をできるだけ簡単にしたい、そして、それによって生まれたリソースを良い作品を作ることに使っていただきたい」というミッションに基づきリリースされるのが、今回の「Pro 2」です。
「Pro」と「Pro2」の違い、それは「ザク」と「グフ」の関係に近い
こちらがその「Pro 2」。見た目はほとんど「Pro」と変わりません。目立った違いは2本のアンテナがついているくらい。
藤井さんも「僕も最初は(あんまり変わらないな、と)思ってたんですよ」と。ところが2週間ぐらい使用してみて、明らかに違うことを実感したそうです。藤井さんはそんな「Pro」と「Pro2」の違いを、
と表現し、会場は爆笑に包まれました。
さらに藤井さんは、「まー、ランバ・ラルさん風に言えばですね……」
「アンテナがついている、というのは、もうザクとグフぐらい違います(笑)。実際のパフォーマンスを見ると、性能の底上げでいえば2倍から3倍は良くなっている感じです。情報量の差でいうと、パラメータによっては4倍ぐらい違う場合もありますね。見た目はほぼ一緒なんですけど、中身は別物だと考えてください」
詳細なスペックなど、特徴については
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ハコスコ、Arashi Vision社の360度VRカメラ「Insta360 Pro」の上位機種「Insta360 Pro 2」を発表
株式会社ハコスコは21日、同社が国内代表代理店を務める360度カメラ「Insta360シリーズ」のメーカーであるArashi Vision社の360VRカメラ「Insta360 Pro」の上位機種とな ...
の記事にもありますが、こちらでもご紹介していきましょう。
6台の4Kカメラにより、8K画質の3D画像・映像を撮影可能に / オーディオもZOOM社「H2N」に対応
まずは「高画質」。「Pro」では「6K 3D @24fps」が上限でしたが、今回のスペックアップで画素数的にはほぼ「2倍」になっています。さらにビットレートが大幅に強化され、「最大40Mbps」から「最大120Mbps」にまでパワーアップしています。
HDRを効かせれば、その画質の差は歴然。フレームレートの良化も含め、より綺麗に・より滑らかな動画撮影が可能になっているわけですね。
オーディオについては、360度音響を実現する4つの内蔵マイクに加えて、USB及び3.5mmのオーディオ用端子をそれぞれ本体の上部と下部に搭載しています。内蔵マイクのクオリティも向上しており「ほとんど音が割れにくくなった」とのこと。また今回のイベントではZOOM社製のフィールドレコーディング用マイク「H2N」への完全サポートも発表されました。
Insta360 ONEの「FlowState™」スタビライズ機能がPro 2にも実装。ジンバルいらずの手振れ補正を実現
Insta360シリーズと言えば「Insta360 ONE」での強力な手振れ補正(スタビライズ)機能が有名ですが、この「FlowState™」システムが「Pro 2」にも実装されています。
超精密な9軸ジャイロスコープで動きを検知し、Insta360のソフトウェアで自動的に撮影映像に強力な手ブレ補正をかけることで、Insta360 ONE譲りのスタビライズを実現しているとのことで、
「(スタビライズがかかっている)Pro 2の映像を見ると『あれ? これって「ONE」の映像じゃないの?』って思っちゃうんだけど、画質が全然違うから、Pro 2で撮ったってわかるような……非常になめらかなスタビライズをかけてくれます」
とのことでした。
この「FlowState™」技術により……
こんな撮影でもスタビライズが効きますよ、と紹介されたのが、ドローンでの空撮。このような撮影の場合、ドローンとカメラを取り付ける棒を編集で消すために長い棒を使用することになり、結果として振動が大きくなってしまうのですが、それでも「FlowState™」により振動を吸収してしまうそうです!
「FarSight」技術による360度ライブ映像モニタリングシステム機能を搭載
お次は「FarSight」機能による遠隔モニタリング機能。
藤井さんが手にしているのが受信機を取り付けたiPad。会場内に設置されているPro 2のアンテナから、スティッチングされた状態(FullHD / 1920x1080)の動画がリアルタイム送信され、受信機側のiPadに表示されています。リアルタイムスティッチングにかかる時間も1秒ちょっとと短く、そのため遅延もほとんどありません(1秒から2秒くらいだそう)。
これで離れた位置から動画を確認しつつ、Pro 2に指示を出して撮影する……などといった遠隔操作が無線で可能になっています。写真ではiPadを使用していますが、スマートフォン、タブレットだけでなくPCにも対応しているそうです。
送信距離は標準で300m、あいだに遮るものがなければ「3キロ離れた距離(理論上。実測では1キロくらい)」まで届きます。さらにアンテナにはLAN端子がついていて、アンテナ自体がルータとして動作。これにより、アンテナからネットワーク接続が可能……という機能までついているそうです!
Adobe Premiere Proで「No-Stitch」編集を実現
もう一つ重要なポイントとして紹介されたのが、「Adobe Premiere Pro」への完全対応にて実現させた「No-stitch」編集です。
Pro 2にて動画撮影する際、高画質の動画のほかに低画質のプロキシ素材が自動的に保存されます。この撮影したオリジナルの映像ファイルをAdobe Premiere Proにインポートすれば、プロキシ素材ファイルも自動的に認識され、スティッチ後の画像を瞬時に確認できるようになります。
このプロキシ素材を用いて編集を行い、その後に動画をエクスポートすると、動画の編集とスティッチングはInsta360のアルゴリズムに置き換わり、最終的には高画質で出力される……という仕組み。つまり、
Premiereで編集するなら、事前のスティッチ作業がいらない! というものすごい仕様になっています。
また、ProではSDカード1枚にデータを格納していたため、データ書き込みの際にエラーが発生することがありましたが、今回6枚のMicro SDカードそれぞれにレンズ1つずつのデータを記録するようにすることで、帯域の負担を軽減してエラーの発生を抑えることに成功しているそうです!
「CrystalView」技術で、Gear VR / Oculus Goなどでも8K動画を再生!
そして、
「これ、ホンットに素晴らしいことだと思います。彼ら(Arashi Vision)が一番スゴイと感じたのが、カメラを作っただけではなくて、(カメラで)撮影して出来上がった高品質な動画を再生できる環境も作った、ということです」
とおっしゃっていたのが、「CrystalView」による8K動画の高品質再生です。
Insta360が独自に開発した「CrystalView」技術を用いて専用のフォーマット(vrb形式)に変換することで、「Gear VR」や「Oculus Go」など、コンシューマ向けとして位置付けられるスマホやヘッドセットでも8Kクオリティのままで再生できるようになります。実際にOculus Goにて8K動画を再生できることを確認済みだそうです(2D)。
「CrystalView」側で再生用の専用アプリを提供、この再生アプリで専用形式の動画を再生させるという仕組みです。動画ファイルを動的にレンダリングし、ユーザーが見ているところだけを高画質に再生させることで実現しています。
藤井さん曰く
「ぜひウチのハコスコ(スマホVRビューワ)で見てください(笑)。違いがわかるはずです」
とのことでした。
対応プラットフォームも発表されました(上のスライド・クリックで拡大します)。iOSとAndroidについてはすでにInsta360のページにて再生アプリの配布も始まっていますね。上記写真のうち、下にあります「Pico」「DPVR」は今後対応予定とのことです。また、将来的にはSDKの提供もしたい、とのことでした。
いやーーーー、とっても濃い内容のプレゼンテーションでしたー。藤井さんが時折JKさんへ確認を取りながら力強く説明する姿から、ハコスコさんがこのInsta360 Pro 2という製品に対し大きな自信を持っていることが垣間見えたような気がします。それほどなまでにPro 2の機能は衝撃的でした。
ザクとグフに例えたくなるのもわかる―!! ということで今回はここまで! 後編では、この後に行われました「パネルディスカッション」の模様をお届けします! お楽しみに!