まさしく「衝撃」の一言でした!
アメリカのLooking Glass Factory社はアメリカ太平洋時間で28日朝(日本時間で29日)、lightfieldディスプレイとボルメトリックテクノロジーを組み合わせたホログラムディスプレイ「Looking Glass」の新製品となります、ホログラフ・ワークステーション「Looking Glass Pro」を発表しました。
価格は6,000米ドル。5月29日から6月2日(米国時間。日本時間では5月30日から6月3日まで)の間は先行販売価格として5,500米ドルで受付を実施することも合わせて発表されています。
「makuake」クラウドファンディングで驚異の「4,800万円オーバー」という超ストレッチゴールを成し遂げた「ルキグラス」、いよいよ新商品を発表
実は某日某所、VRonはLooking Glassさんにお招きいただきまして、ひと足お先にその新製品を拝見させていただくことが出来ました。今回はそのレポートと共に、今回の新製品についてご紹介させて頂きます。
さて、その前にまずは「Looking Glass」についてご説明を。
Looking Glass(ルッキンググラス)は、lightfieldディスプレイとボルメトリックテクノロジーを組み合わせた、独自のホログラムディスプレイ。
Looking Glass独自の機構により、VRやARヘッドセットを装着することなく、複数の人が同時に立体的な世界を裸眼で見ることを可能にしています。特に、3DクリエイターがLooking Glassで簡単に3D作品のプレビューや開発に活用できるよう、各種開発ツールが充実しているのが大きな特徴です。こちら!
- HoloPlay Unity SDK(Looking Glassのアプリは同Unity SDKを使って開発)
- Unreal SDK
- 3D Model and Animation Importer App(OBJ、FBX、STL、gLTFフォーマットの3DモデルやアニメーションをLooking Glassにインポートするアプリ)
- Blender用アドオン(Looking GlassへのライブViewport&3D Renderエクスポートが可能)
- Three.jsのLooking Glassライブラリ
- HoloPlay C API(3Dアプリケーションを簡単に統合可能)
なるほどー、これだけ揃っていれば、特に3DモデラーさんやCGアーティストさんにとって「超手軽に立体映像のプレビューができるディスプレイ」として重宝されるわけですねー。
なんと言っても特筆すべきなのは、「KickStarter」「makuake」のクラウドファンディングで大成功を収めたことでしょう。
上記KickStaterではなんと! 840,000ドルという超ストレッチゴールを達成(目標は50,000ドル)。
しかも! 日本でも5,000,000円の目標に対して4800万円をオーバーするほどの超ストレッチゴールに成功しており、高い注目を集めました。
日本では「#ルキグラス」のハッシュタグがよく知られているほか、日本独自のコミュニティが形成されておりまして、定期的に勉強会も開催されていますね。
CEOの「ショーンさん」こと、Shawn Frayneさんも……
「日本のコミュニティには本当に感謝しています。クラウドファンディングでもたくさんの支援をしてくださいました。日本は我々にとって重要なパートナーであるとともに、日本のLooking Glassコミュニティは世界で最も規模が大きいんですよ。今後も引き続き日本語でのサポートに注力していきます!」
と力強くお話されていましたよ!
気になる新商品は……、スタンドアローンで動作する「ワークステーション」!(しかもサブディスプレイ付き)
さて、今回発表されました新製品は「Looking Glass Pro」。これまで純粋なホログラムディスプレイとしての機能が提供されていた「Standard Looking Glass」「Large Looking Glass」にワークステーションの機能が付加されていて、VRに特化した「つよつよ」組み込みコンピュータである「Intel NUC 8 VR NUC817HVK」を内蔵しております。つまり……Looking Glass Pro単体で動作するようになっているんですね!
こちらが前面。んんんん? 横になにか別のディスプレイがありますよ!?
なんと! 今回の「Pro」にはサブディスプレイがついています! もちろんこちらもタッチパネルに対応していて、Looking Glass本体に映し出すメニューインターフェイスなど、用途のアイデアが膨らんじゃいますねー。
というわけで、バシバシと撮影させていただきました。製品版では背面の配線周りがスッキリする予定だそうです。また、組み込みコンピュータを搭載したことにより、Looking Glassの連結などついても単体で対応できるようになったそう。出力はDisplay Portを採用しています。
※歯のスキャニングデータ提供: Orthoscience
こちらが公式の紹介動画ですね。今回の「Pro」発表により、商品ラインアップが3つになりました。ショーンさんのお話では……、
- Standard / Large …開発者・クリエーター向け
- Pro …エンタープライズ / 企業向け。ビジネスライセンスを含む(商用利用、オリジナルコンテンツやアプリを組み込んだ上での再販、など)
という位置づけにしていきたい、とのことです。また、もっと安い「コンシューマ」ユース・一般向けの製品については……
「現在ラボでいろいろな実験をしていて、一般向け製品についてのトライも行っています。まだまだ発表できるレベルではありませんが、将来的には実現したいですね!」
とのことでした。以下製品仕様概要!
「Looking Glass Pro」製品概要・仕様
- ディスプレイサイズ:15.6インチ、ライトフィールドディスプレイ
- 組み込みコンピュータ:「Intel NUC 8 VR NUC817HVK」
- サブディスプレイ:7インチ、タッチパネル対応
- Leap Motionコントローラ(3D空間的相互作用向け)が付属
- バンドル:
商用利用向けの開発ツール(ビジネスライセンスを含む。Unity / UE4 / Three.js)
3D Model and Animation Importer App(OBJ、FBX、STL、gLTFフォーマットの3DモデルやアニメーションをLooking Glassにインポートするアプリ)
LightField Photo Viewアプリケーション など - キャリーケースが付属
- 価格:6,000米ドル(5月29日から6月2日(米国時間。日本時間では5月30日から6月3日まで)の間は先行販売価格として5,500米ドル)
- 販売ページ / 公式ページ:http://look.glass/lkgpro
ということで、今回ご厚意で事前取材をさせて頂きました。皆様に厚く御礼申し上げます!
今回の「Pro」が登場したことで、一気に「Looking Glass」というものが全く新たな進化を遂げることになります。
これまでは「裸眼3D表示のできるホログラムディスプレイ」だったLooking Glassが、他のPCの力を借りることなく単体で動作する=スタンドアローンで動く、というのはめちゃくちゃデカイことでありまして、しかもバンドル再販を含んだビジネスライセンス展開、となれば、様々なプロダクトがLooking Glassという「メディア」を通して世に放たれる、ということをも意味するわけです。
今回のデモンストレーションにおいて、「歯医者や医療分野における活用例が用意された」というのも非常に頷けるアプローチでした。特に医療の世界において3DやVRをベースにしたソリューションが盛んに行われていて、VRonでもご紹介してきました。
今回のLooking Glassなんかは特にこういった「3Dの映像を実際に見ることでエクスペリエンスを効果的に得られる」という大きな強みがあるわけで、この特徴を生かさない手はないはず!
日本の「#ルキグラス コミュニティ」最強! これからProを使った製品が日本からもどんどん出てきそう。今から楽しみです!!