コラム

【VRヒストリースペシャル】私たちが、VRにとってできることは何だろうか

こんにちわこんばんわ。

先日「ジャンプVR」「ドラえもんVR」が発表されたのは、このブログでも紹介させて頂きましたので、皆さんご存知かと思います。

最近の有名IP活用事例と、気になるニュース

有名IP活用事例 ジャンプVR VRの今がすべてわかる『ジャンプVR』が発売!集英社VRコンテンツ、マンガ、アプリ、ハード、HMD、VR体験スポットと各特集に加えて、2眼1眼対応の紙製HMDが付録に! ...

この記事を見つけてきたニュース記事担当者も、その時は興奮していました。

「〇〇さん、ついにジャンプがVRですよ! ジャンプVR!」

わかります。少年漫画雑誌の代表格が動いたわけですから、私にとってもこのニュースはエポックメイキングでした。

というわけですし、今日はヒストリースペシャルと題しまして、ちょっと小難しいお話をさせてくださいませ。

 

VRの歴史は、成功と失敗の輪廻であった

VRを「仮想現実」とした場合、その歴史は決して平坦なものではありませんでした。

そのことは、これまでのコラム「VRヒストリー」でも書いてきたとおりです。1989年にラニアーさんの「The Eyephones」などが発表されたことも書きましたね。

それからの10年くらい、つまり1980年末~90年末くらいまでを「第一次VRブーム」的に考える方は多くいらっしゃるみたいです。例えば、日本バーチャルリアリティ学会の学長をお勤めでいらっしゃいます、東京大学の廣瀬通孝教授は、「mine」にて以下のように書かれています。

マスコミによれば今年がVR元年とか。しかしながら、この分野の専門家にとっては、この技術は昔からのものである。二巡目のブームとでも言えるだろう。そもそもVR(バーチャルリアリティ)という言葉が最初に使われたのは1989年のことである。

VR元年に異議あり[世界VR史] - 廣瀬通孝 / 2016.11.1 mineより

この後、本文では「The Eyephone」の説明をされています。歴史的・学術的な側面で深く考察されていらっしゃいますので、興味がある方はぜひご一読されることをお勧めします。

つまり、2012年の「Oculus Rift」発表から始まった今の「VR元年」に至る流れの礎には、この「第一次ブーム」があるが故、なのですね。

今のVRは「キャズム」を超えられるのか

では、今まさに巻き起こっているVRブームは、果たして定着するのでしょうか。それとも、昔の「第一次ブーム」のように、しぼんでしまうのでしょうか。

ちょっとここで、いきなりマーケティング用語を出します。

皆さん、キャズム、って言葉をご存知ですか?

キャズム、というのをごくごく簡単に説明すると…… ハイテクな技術を使った新しい製品というのは、出たらすぐに流行してみんなが使うようになる、というわけではありません。新しい技術を使った製品はこれまで人間が使ってきたものの様式を変えてしまうので、様式が変わることを好まない人たちからいったん拒絶されてしまうからです。

ほら、新しいもの好きっているでしょ?(筆者がそうです) そういう人は新しいものになんでも飛びついて使いこなそうとします。でも、そういうものに関心がない人にとっては、新しいものを手にとってもなんのことだかわからんチンですよね。

このように、新しい技術を使ったものは、一般的に浸透する前にこういった大きな壁にぶつかることがよくあるのです。この壁みたいなものを、割れ目・溝という意味の英語「キャズム(chasm)」と呼びます。ジェフリー・ムーアさんの著書で「キャズム理論」として紹介されている言葉です。

今、VRはキャズムという「深い溝」を、いよいよ超えようとしている

今我々を含めた数多くの人たちが手掛けているVRやARというものは、まさにハイテクな技術をもとにした製品であるわけです。

さらに、第一次ブームにおいてはこのキャズムを、VRが「超えられなかった」と言ってもいいんじゃないかと私は思います。ブームにはなりましたけど、結果として定着はしなかったわけですから。

今「VR元年」と盛んに喧伝されていることも、おそらくはその証左となるでしょう。定着していれば「元年」なんて、言わないですもんね。

で、話は「ジャンプVR」にようやく戻ることになります。

ジャンプVRも、ドラえもんVRも、おそらくは、この「深い溝」を超えようとしているがための、大いなるアプローチの一つなんではないかと思うのです。

なんてったって、子供向けですよ。一眼の方ならば対象年齢が「7歳以上」です。

今年のVR界隈の流れが大きく舵を切った要因の一つに、こういった「お子様へのアプローチ」は間違いなく含まれているはずです。また、InterBEEで取材をした際も、各メディアさんが一般層に向けたアプローチをさかんにアピールしていましたし。

この流れがホンモノだ! と断言するにはまだ勉強が足りませんが、少なくとも、本気な大人が前回のブームの時よりもはるかに多いことは間違いありません。

VRonにできることはなんだろう、と考えてみた

私がこの「VRon」を立ち上げるにあたって、記事を書くときに常々お題目のように唱えていることがあります。それは

見てくださる方にとって、VRonが「VR」への優しくてわかりやすい入口になろう

ということです。

最新のニュースやプレスリリースや専門的なエントリは他のメディアさんでもたくさん書かれていらっしゃいますし、それをただ真似するのは、なんか、こう、シャクじゃない?

だったら、私は、自分たちも一から勉強しなおすつもりで、とにかくわかりやすさを重視した記事作りを心がけよう、そう決めました。

それはたぶん、比べるのは非常におこがましいのですが、ジャンプVRやドラえもんVRと志は同じなんだと思います。いや、そう思いたい。

だって、キャズムを超えるには、みんなにVRというものをわかってもらえなければ超えるものも超えられない、でしょ?

これからもVRonは「やさしさ」と「わかりやすさ」を目指します

長くなってしまいました。

というわけで、年の瀬でもありますし、いっちょ前に所信を表明してみましたよ。

今年は年末ぎりぎりまで記事更新を続けます。まだまだひよっ子な当ブログでありますが、これからも何卒よろしくお願いいたします。

VRの未来のために、微力ではありますがお手伝いができれば幸いです。

頑張ります!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

-コラム
-, , , ,