コラム

「VR元年」の今とこれから。GDC 2017で総括する2016年と2017年の展望

3月3日までサンフランシスコで開催されました「GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス) 2017」。今回はVR(ヴァーチャル・リアリティ)市場に関するセッションや講演について取り上げられました、各メディアさんの記事をご紹介していきましょう。

(ファミ通)VR市場の2016年

まずはファミ通さんの記事から。“VR Market 2017: Data and Insights”にて行われたEEDAR社のパトリック・ウォーカーさんによる登壇の模様です。

詳しくは記事をご覧いただければと思いますが、VRonにてちょっとばかし解説をば。

VRハードウェアのシェア……「モバイルVR」32%「PC向けVR」27%「PSVR」27%

こちらの比率は「売上金額」。「売り上げ台数」ではないことにご注意を。

上記3つの中では最後発、かつ慎重な販売体制戦略により販売台数も91万台だった「PSVR」ですが、実は全体の3割近くを占めているんですね。お値段の面こそあれど、この短期間でここまで伸ばしていることがポイントの一つではないでしょうか。

また、価格帯のことを考えれば「モバイルVR」が同様に3割をキープしているのも大きなポイントかと!

VRのソフトウェア売り上げシェア……VR市場全体の「14%」

 

理由として、Patrick氏はモバイルデバイス特有の販売形式に注目。「モバイルはフリートゥープレイのエコシステムが形成されているので、買いきり主体のVRソフトウェアを売るようにはできていない」のだという。

ファミ通より

この点は少々意外でしたね。もうちょっと売り上げがあると思っていたのですが……。

パトリックさんの上げている理由はごもっともで、モバイルVRが多く普及しているがゆえに、モバイルならでの「基本無料!」なビジネススタイルで高い収益を短期的に生み出すのは難しそうですね。その他「キラーコンテンツの不在」「高価格帯のタイトルにて成功例が少ない」ことも理由に挙げられています。

VRデバイスの購入者層……ヘビーゲーマーがメイン

VRデバイスをどんな人たちが購入し、どのくらいの頻度で使っているのかも詳しく発表されています。

現時点ではVRハードの価格は高いが、ゲーマーの30%が400ドルでも購入すると回答。モバイルVRのようなローエンドモデルの場合は、85%が100ドルまで払うと回答しているという。

ファミ通より

なんて具体的な数字も出てきておりますねー。「ゲーマーの30%が400ドルでも購入する」というのがけっこう大きなポイントになりそう!

今後のVR業界の未来予想

「今後は”アクセスの良さと機能性”という方向へ行くか(Virtual DT、Netflixなど)、”没入感とトランスポーティブ(別の世界へ誘う)”な方向へ行くかという、ふたつのやり方がある」

ファミ通より

最後の2017年へ向けた予想についても、冷静かつ客観的な視点で考察がされています。VRのコンテンツを作るうえで非常に参考になる講演ですので。ぜひ記事のチェックを!

GDC2017: Oculus、プラットフォーマーの立場から見たモバイルVR成功のための貴重な「ノウハウ」

昨年のGDCと比較してもっとも大きな違いは、デベロッパーのVRに対する熱の冷め方だ。VR関連のセッションの数は、昨年と同等か、むしろ多いほどだが、参加者の数はザッと半分以下で空席が目立つ。理由は簡単である。VRは儲からないからだ。

GAMEWatchより

こちらはGame Watchさんの記事から。Oculusが行ったデベロッパーカンファレンスの模様です。しょっぱなから内容が結構辛辣!

でも、登壇したOculusのRade Stojsavljevicさんは……

セッションの最初に、「モバイルVRで儲けられるか?」の自答に、短い回答として「イエス」、長い回答が「このセッション」だと語り、OculusがモバイルVRのプラットフォーマーとして得てきた知見を披露していった。

GAMEWatchより

と! 詳しくは記事をご覧いただきたいのですが、Oculusというプラットフォームを通して、どんな形でVRコンテンツの利用がなされているかを分析しています。

本編ではまずモバイルVRの利用者数の少なさを挙げています。Gear VRはそれでも利用するユーザーは、モバイルという利点を積極的に活用している様です。

たとえば、現在100万ダウンロードを突破している「Face Your Fears」について……

「Face Your Fears」の成功から導き出された答えは、ホラーのようなVRの特性にあった、見せびらかしに向いたコンテンツであること、1サイクルが5分程度で遊べるサイズであること、クオリティの高いグラフィックスであること、そして手軽に試せるようにFree to Playを採用し、その上で気に入った人にコンテンツを買って貰う、IAP(In App Purchase、ゲーム内課金)モデルを採用すること。

GAMEWatchより

と分析。特筆すべきなのは「みせびらかし」というプレイスタイルですね。コンテンツの内容や、ビジネスモデル等、参考になる点が多々あります。

この他にも様々な観点からの言及がありますので、ぜひご一読を!

2017年、これからのVRコンテンツはどうなる!?

2つの記事からは「端末の普及台数の割に利用者が少なく、コンテンツの売り上げが低い」「キラーコンテンツの必要性」などの共通性が見えてきますね。これからGear VRのコントローラーも出てきますし、モバイルVRの趨勢はこれまで以上にバンバン変わっていきそうですね。

GDCアワードを受賞した「ポケモンGO」的なキラーゲームが、VRの分野にも出てくるんでしょうか!? これからにまだまだ期待です!

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