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Oculus、インサウドアウト方式を採用したRiftの新機種「Oculus Rift S」を発表。お値段49,800円。その存在意義を考える

Oculusは現地時間で3月20日、Ouclusシリーズの新製品として、PC接続型VRHMD「Oculus Rift S」のリリースを発表しました。

Lenovoとの提携でOculusが目指したのは「手軽さ」だった

すでに各メディアで驚きを持って報じられております「Oculus Rift S」。スタンドアローン型HMD「Oculus Quest」と同価格(398米ドル)、しかも双方ともに「今年の春にリリース」と、Oculusが一気にHMD戦争に新製品を立て続けに投入する形になります。まずは公式のティザー動画から。

とにかく目を引くのは、HMDの下の方に4つ、そして上部に天井を向く形で取り付けられた5つのカメラセンサーによるポジショントラッキングシステム「Oculus Insight」であります。

つまり、これまで採用していた「アウトサイドイン」方式ではなく、rift sではQuestと同様の「インサイドアウト」方式を採用した、というわけ。これは大転換です!

「Oculus Insight」はQuestでも採用されますが、違いはカメラの数。Questは4つなのに対し、Rift sは「5つ」搭載されることになります。このインサウドアウト方式を採用した「Oculus Insight」により……

こちらの新しいコントローラーもバッチリトラッキングしますよ。視界の上の部分は天井方向のカメラに任せて、手元や前方~下方向を4つのカメラで詳細にトラッキングすることで、精度を向上させているようですね。今回の「Oculus Insight」により、センサーのセッティングがとっても簡単になっているそうです!

で、一部スペックも発表されておりまして、そちらがこちら!

「Oculus Rift S」主要スペック

  • 価格:399ドル(各メディアによれば、日本での価格は49,800円
  • 発売時期:2019年春
  • ディスプレイ(液晶)解像度:1280×1440ピクセル✕2(=2560✕1440ピクセル)
  • リフレッシュレート:80Hz
  • ケーブル長:5m

ということで、ちょっと解像度が良くなります! Riftが「1080✕1200✕2」でしたから、だいたい1.2倍位、Oculus Goと同じ解像度です。ディスプレイは有機EL(OLED)から液晶(LCD)に変わった他、リフレッシュレートが90Hzから80Hzになりました。光学系もOculus Goで使われている新型レンズを使用しているということで、かなり「Go」に寄せている印象が強いですね。

また、今回の「Rift S」では特にHMD内部や装着部分が改良されています。ざーっとまとめますと、

  • 鼻の部分が改良され、鼻の大きさによって発生していた外部光の漏れを解消
  • メガネを付けながらかぶれるようにHMD内部の設計を改良、HMD内奥行きを調整できるボタンも搭載
  • 後頭部にはPSVRのようにトグル型のダイヤルで固定する「ハロー型」の機構を採用
  • IPD調整ダイヤルが消滅→ソフトウェアでの調整にチェンジ

ということで、めちゃくちゃかぶりやすくなってるみたいです!

で! 解像度が上がった一方でリフレッシュレートが下がるなど「行って来い」なスペックなのもあるのでしょうか、要求されるPCスペックは「Rift(無印)」と同じです!

推奨環境

グラボ:GeForce GTX 1060またはRadeon RX 480以上、あるいは、GeForce GTX 970またはRadeon R9 290以上
CPU:Core i5-4590またはRyzen 5 1500X以上
メモリ:8GB以上
ビデオ出力:DisplayPort 1.2またはMini DisplayPort to DisplayPort(mDP to DPアダプターは同梱)
USBポート:USB 3.0×1

最低環境

グラボ:GeForce GTX 1050 TiまたはRadeon RX470以上、あるいは、GeForce GTX 940M(4GB)またはRadeon R9 290以上
CPU:Core i3-6100またはRyzen 3 1200/FX-4350以上

公式サイトでは、動作環境をチェックできるアプリが公開されていますので、まだOculus Riftを入れたことがないっす! という方はぜひお試しを。「Rift」「Rift S」両方のチェックができますよ。

さらに、Asynchronous Spacewarp(ASW)などOculusが持っている描画技術の進化を元にした「パススルー+」機能が搭載されておりまして、奥行き認識能力の向上やハンドトラッキング精度の向上を実現する一方、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながら快適な体験を生み出せるようになっているそうです。

「Oculus Rift」対応アプリは全互換、Questとコントローラーの使いまわしも可能。この「進化」が示す未来とは!?

今回の発表に合わせて、Oculus Rift Sのローンチに併せて対応するゲームタイトルも多数発表されていますが、中でも「Oculus Quest」のローンチタイトルになったことで話題になったのがこちらの「BEAT SABER」。現在Oculus Rift(無印)、STEAM、PSVRでプレイ可能ですが、今回「S」での対応が正式に発表されています。

基本的にRiftのタイトルは「Rift S」でも互換するとのこと。互換性の面を考えても、今回の「S」はポジトラの大転換、という大きな変化を行う一方で「マイナーチェンジ」的な側面も多く見られるのが非常に印象的であります。

ただ、その中でも際立っているのが「導入障壁を思いっきり下げようとしている」という、今回の「S」の方向性でしょう。

メガネをつけながらのプレイOK、内蔵スピーカー・ヘッドホン端子搭載による「音的な没入感」へのテコ入れ、装着のしやすさ……、そしてなんと言っても「要求スペックを上げてこなかった」「インサイドアウト形式による劇的なセットアップの簡略化」「これでわずか49,800円」の3点は、「これからPCHMDを買おうかな?」という人にはビンビン刺さるポイントです。

現在の「Rift(無印)」の上位版、という選択肢ではなく、純粋な「アップデート」の選択肢をチョイスした……とも言うべきこの新製品の登場。はたして、間もなく全貌が明らかになるであろう「Oculus Quest」を含め、Oculusが今後どういった戦略を打っていくのか……、続報に注目です!

記事元:Oculus Blog「Announcing Oculus Rift S, Our New PC VR Headset Launching Spring 2019 for $399

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