SIGGRAPH Asia 2018 TOKYO コラム ニュース 特集

SIGGRAPH Asia 2018 TOKYOレポート12(「Art Gallery」)

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2018年12月4日から7日までの日程で、東京・有楽町にあります東京国際フォーラムにて開催されました「シーグラフアジア2018」(SIGGRAPH Asia 2018)。現在各プログラムに出展されていた皆さんをご紹介しておりますよー。

やっと半分が終わった感じ。この後もどんどん展示のご紹介が続きます。今回は「Art Gallery」です!

SIGGRAPH Asia 2018: Art Gallery

SIGGRAPH Asiaでの「Art Gallery」では、アートの視点から先端的なメディアを活用したアート作品を展示するエリア。ただ芸術作品と展示するだけでなく、SIGGRAPHならではのキュレーションがなされているのが大きな特徴です。

今年のSIGGRAPH Asiaのテーマ「CROSSOVER」に合わせて、今回は2つの作家の作品がフィーチャーされました。一つは上の写真にあります「能面」。こちらは京都能面工房岩井彩さんの作品です。

(C) ACM SIGGRAPH

能面は、日本の伝統芸能である「能」に欠かすことのできない意匠。「classical Japanese musical drama」と紹介されている能も、見方を変えれば音楽や造形、舞踏が組み合わさって(CROSSOVER)成立している「メディア」だと考えれば、この展示にふさわしい作品であることがお分かりいただけるかと。

岩井彩さんは、母の代から女性能面師の草分けとして活動されています。木彫から表情、髪を描くまでをご自身一人で手がけており、現在の能公演でも岩井さんの作品が使われているなど、第一線で活躍されている能面師です。

「能面」を一番最初に持ってくる! この奥の深さに筆者はやられてしまいました……! そして、もう一つフィーチャーされていた作家さんが!

ナム・ジュン・パイクです!

現代芸術の歴史において、この方を外して語ることはできないでしょう。「ビデオ・アート」の分野における開拓者にして代表される作家、それがナム・ジュン・パイク。今回展示されたのは、彼が1975年に発表した「Candle T.V.」です。

1963年にドイツにて初めてのインスタレーションを行って以降、一貫してビデオ・アートをベースにした活動を行っていたナム・ジュン・パイクの作品こそ、「CROSSOVER」と銘打たれたこの展示の中心に相応しいですね!

CD Prayer(日本:勝本雄一郎)

それでは、各作品をご紹介してまいりましょう。一気にいきますよ!

こちらは勝本雄一郎さんの「CD Prayer」。「Play(再生)」と「Pray(祈る)」をかけてますね!

情報技術は日進月歩で進化し、記録メディアもまた盛者必衰から逃れられません。ですが、彼岸へと去りゆくメディアにも慈悲を願うのが人間です。そこで私はCDのために仏像を造ることにしました。

CD Prayerは、CDを再生(Play/Revive)し、音楽をプレイ(Play/Pray)する、コンパクトな大仏です。蓮弁(ポータブルCDプレイヤー)に座る阿弥陀仏が、光輪(CD)に納められた経典(リニアPCM・44.1kHz)を読み解き、我ら凡夫にHiFiな音楽を届けます。

公式サイトの説明文より引用

仏像部分は「Yahoo JapanがCC-BY-3.0に基づいて公開している3Dモデル」を使用しているとのこと。再生するとセットされたCDが当然回るのですが、そのCDに仏像が反射して写る感じがなんかこう、後光がさしているような感覚に見えてくるから不思議ですね!

The Data Stones(香港:ピーター・ネルソン(香港市立大学))

こちらは、香港市立大学のピーター・ネルソンさんの作品「The Data Stones」。実際の導入コストを見て頂きましょう。

The Data Stones」は、毎日のインスタントメッセージングによって蓄積された日常的な対話のデータを蓄積し、それを解析して「山」の形に生成したインスタレーション。

ネルソンさん自身が自分の知人や恋人へあてたメッセージを集め、そのデータをLatent Dirichlet Allocation(LDA・潜在的意味解析)を使って分類を実施。潜在的意味解析を使うことで文章データの中にある内容に秩序的な順序が与えられ、このデータに基づいて「石」の映像を出力しているんですね。

会場では、大型の高解像度プロジェクターによってこの「石」の映像が上映されていました。この石は、データ収集、監視、大きなデータ処理の対象、ランダムノイズの対象として熟考して推測する方法として提供されている他、実際にこの造形を出力した彫刻も作成されているそうです!

Deer Calling(日本:長谷部勇人)

Art Galleryの最後は長谷部勇人さんの「Deer Calling」。今年の「北九州デジタルクリエーターコンテスト」で入選を果たしています。以下はその公式動画。

こちらの弦楽器は、地元のハンターによって狩られ遺贈された「鹿の枝角」をベースに作成されています。鹿の角が持つユニークな形に沿った弦の仕立てを通し、独特の音色を発する仕組み。

日本において鹿は「神の使者」に例えられるほどに神聖的な位置づけを持つことの多い動物です。また、古来から動物の皮や骨などを使って楽器が作られてきました。例えば三味線の皮は猫や犬の皮を使いますよね? 長谷部さんは日本古来の楽器製作の手法を使いながら、現代の技術も併せた楽器を制作、芸術作品として発表を続けています。

アンプを通じて聞こえてくる音は、生物の胎動を思い起こさせるような低音の響きと、はじいた時の刹那的で乾いたような色。実際に演奏をしていただいたのですが、ギターともベースともつかない、独特な音色でした。動物の尊い生命と引き換えに生まれた楽器、というインスタレーションが音となって響き渡る感覚は、なかなか貴重な体験でしたよ!

 

さあて、次回からはお待ちかね! 展示会エリア(ホールE)の出展社ブースをババーッとご紹介していきます。お楽しみにー!

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