その時、筆者は秋葉原におりました!
株式会社Moguraは、XR分野における開発者・クリエイターを対象としたカンファレンス「XR Kaigi」を2019年12月3、4日の2日間にわたって開催します。
本日はその1日目、基調講演・懇親会が開催されまして、つい先程終了しました。まずは取り急ぎ、この基調講演の模様を秋葉原のガストよりダイジェストでお送りいたします!
1日目・基調講演ダイジェスト
今回、2日間の日程は以下のようなスケジュールが組まれております。
- 基調講演2019年12月3日(火) 16:00〜17:30 (15:00 開場・受付開始)
- セッション2019年12月4日(水) 10:15〜18:45 (09:30 開場・受付開始 )
- 展示2019年12月4日(水) 10:00〜18:00
また、明日は「VR/AR/MR ビジネスEXPO 2019 TOKYO」が併催されます。こちらも含めて両日延べで1,500人以上の方が来場されるそうです。
まずは今回主催されております、株式会社Moguraの久保田さんからご挨拶。
まずはMogura久保田さんによるご挨拶。参加者は総数で1500名以上、主要HMDが勢揃い! #XRKaigi pic.twitter.com/4EhjqdG45B
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今回2つのイベントに現在主力で稼働しているHMDが勢揃いします。目玉はなんといっても「varjo」製ハイエンドHMD「Varjo VR-2」のプレイアブル展示でしょう(XR-1から変更)。こちらは「VR/AR/MR ビジネスEXPO 2019 TOKYO」にてエルザジャパンさんが展示をされる予定です。
また、冒頭の挨拶で興味深かったのがこちら。開発に使っているHMDを参加者にアンケート調査したところ、ダントツで「Oculus Quest」が首位をゲットしています。HTC Viveシリーズの根強さも光りますが、Oculus Goが2位を奪ったことも含め、日本の開発の現場ではOculusが優勢のようですね!
基調講演:ビジョナリー・トーク「XR作戦会議~未来に向けて何をすべきか?」
続きましていよいよ! 基調講演が始まりました。写真右側、左より以下のお三人方が登壇!
川島優志さん
Niantic, Inc. アジア・パシフィック オペレーション 副社長
2013年、Googleの社内スタートアップとして発足したNiantic Labsの UX/Visual Designerとして参画、『Ingress』のビジュアル及びユーザーエクスペリエンスデザインを担当。2015年10月にNiantic, Inc. の設立と同時にアジア統括本部長に就任し、2019年に副社長となる。『ポケモンGO』では、開発プロジェクトの立ち上げを担当。
早稲田大学を中退後、2000年に渡米。ロサンゼルスでの起業、デザインプロダクション勤務を経て、2007年にGoogleへ入社。アジア太平洋のウェブデザインチームを統括、日本人としては世界で初めて「Doodle」をデザイン。東日本大震災時はクライシスレスポンスウェブチームを立ち上げた。2011年、米Google本社に移籍し、コンシューマープロダクトウェブデザインのグローバルチームを統括。
近藤”GOROman”義仁さん
株式会社エクシヴィ 代表取締役
2010年 株式会社エクシヴィ設立
2014年~ Oculus Japan Teamの立ち上げに参画。Facebook Japan株式会社にて国内のVRの普及に務め、パートナーサポート、講演活動を行う。
個人でも”GOROman”としてVRの開発と普及活動を広く行う。
2018年 VRアニメ制作ツールAniCast を発表。
東雲めぐ(c)GugenkaのSHOWROOM生配信に技術提供。
エイベックスとアニメ制作のパラダイムシフトを目指すAniCast Lab.を設立。
著書「ミライのつくり方2020-2045 僕がVRに賭けるわけ」
水口哲也さん
エンハンス CEO / シナスタジアラボ主宰
2014年、共感覚とXRテクノロジーの融合を目指すスタートアップ、エンハンス(Enhance)社を設立。「Rez Infinite」(2016)、「テトリス エフェクト」(2018)、音楽を光と振動で全身に拡張する「シナスタジア・スーツ」(2016)、共感覚体験装置「シナスタジアX1 ? 2.44」(2019)など、新たな体験の拡張を目指している。
エッジ・オブ(EDGEof)共同創業者兼CCO、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(Keio Media Design)特任教授を兼任。
川島さんはAR位置ゲーの代名詞にもなった「Ingress」「ポケモンGO」の生みの親、GOROmanさんは「AniCast」で本気にアニメ制作のパラダイムシフトを起こそうとしているXR業界のキーパーソン、そして水口さんは言わずとしれた「TETRIS Effect」「REZ Infinity」の制作者にして、「共感覚」の魔術師!
内容は非常に多岐にわたりました。その場でバリバリツイートをさせていただきましたので、そちらをベースにお届けするとしましょう。
川島さんが今取り組んでいるのはARクラウド。ゴロマンさんは懐かしのMIDI端末を片手に「ロールチェンジ」の概念を紹介。水口さんは先週のARISEでも話されていた「体験の回帰」について!#XRKaigi pic.twitter.com/fYypMwY4UL
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今回特に印象的だったのは、久保田さんが設定されたトークテーマが非常に未来を向いた内容になっていたことです。作戦会議、と銘打たれていたのも非常に納得できました。只今のXR事情をさらうようなことをせず、あくまでこれから先のことを詳らかにしよう、というのが非常に前向きで!
GOROmanさんが手に持っているのはあのMIDI音源モジュールの名機「SC-88 Pro」! GOROmanさんはMIDI規格によりDAWが生まれ、それにより音楽市場が新たに形成されたことを踏まえた上で……
アニメ制作ツールとしてDAW的存在を目指した「AniCast Maker」のご紹介をされておりました。上の動画は「Unite 2019」のセッションで公開された際の動画。これ、まじですごいのでお時間がある方はぜひ! またここらへんのお話は、このあとレポートが控えている「VRMコンソーシアムセミナー」でもお話されていましたので、改めて後日お伝えします!
近藤「この漫画にある通り、ARグラスが進化して日常的になってきた時に、良い行いをすると周りから「いいね」「ハート」が降ってくるような、そんな世の中になるといいな、と思う」 #XRKaigi pic.twitter.com/G9iqfSI81Y
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ARグラスが普及してリアルでいいねが飛んでくる未来。 pic.twitter.com/hA6ig9r8zs
— 春夏アキト (@hal_akito) November 11, 2019
またGOROmanさんは、ARグラスが日常化したときの「優しい世界」についてお話をされていました。現実的にこうなるかはわかりませんが、少なくともこの描写は小島秀夫監督の最新作「デス・ストランディング」にもゲーム内のギミックとして生かされているわけで、発想としてありえるなー、ということがわかります。
水口「みんなXRになると『便利に、便利に』って考えがちなんだけど、それだけじゃないよね」近藤「最近の広告ってなんでも供給過多。こうなるとXRにも引き算が大事なんじゃないかなって思う。広告ブロックみたいなw」 #XRKaigi pic.twitter.com/aTEIKdjypJ
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ここで水口さんが話されていたのが、「ARISE #1」でも話されていた以下の動画のお話。ここ、今後のVRonのレポートでもバンバン出てくるトピックになりますので、詳しく文字起こししてみましょう。
2016年にロンドン在住のKEIICHI MATSUDAさんが発表された「HYPER REALITY」という作品。ARによる情報過多のためにディストピア化した未来を描いています。
水口「最近ちょっと現実の世界がディストピア化してる気がするんですよ。僕は最近渋谷で仕事することが多いんだけど、渋谷歩いていると広告がすごいし、山手線に乗ると今全面がディスプレイ広告になっててがんがんくるじゃないですか。もうちょっと途中でキツくて目を伏せてしまったんだけど、これってまさにMATSUDAさんの「HYPER REALITY」じゃないか、って思っちゃって」
「どうやって多幸感というか、ユーフォリアという空間を作れるのか、といった能力の拡張とかをもっといっぱい考えないといけないって思うんですよね。みんな「便利な世界」を考えがちなんですよ。「ARになるとどこでも広告置けるよねー」って、それって本当にその世界が欲しいんですか? って」
川島「実際にウチのエンジニアで、実際にある広告を全部「アルパカの絵」に変えるプログラムを開発したやつがいましてね(会場爆笑)」
GOROman「街中の広告をちゃんと消していく、というか、我々はノイズキャンセル的なものをほしいんじゃないかって思ってるんですよね。見たくない視界のものを消していく、っていうか、足し算じゃなくって引き算というか、課金して広告を消す、みたいな(笑)」
ここらへんの詳しいお話は、先日水口さんと東京大学の稲見先生が語られていますので、後日きっちりとお届けします!
水口「だいぶ昔に近藤さんと『やっと(この時代が)きたね!ってハグしたのも思い出したけど、むかし活版印刷で起きた革命のようなのことがまた起きるんじゃないかな」川島「今XRとAIを合わせた取り組みをスマホレベルでやっていて、今後はもっと楽しくなると思う」 #XRKaigi pic.twitter.com/LVmGYJXLNA
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近藤「今ハマっているのはドローンとRoboMaster S1(写真)。何でもかんでも組み合わせることで新しいものが生み出せる」水口「4年前からサーフィンを始めた。泳げないのにw でもいろいろなことが学べて大好きになった」川島「最近はXRと子育て教育の関係や親和性についてよく考える」#XRKaigi pic.twitter.com/nGurJ0VY6n
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見ていただければおわかりかと思うんですが、いやー、めっちゃくちゃ濃かった! このお三人方が揃うと話が止まりません!
で、こちらがそのGOROmanさんがご執心のドローン。懇親会の会場内を飛び回っておりました!
水口「難しいね、あっという間に終わる気もするし、いろんなことが起きそうな気がする」近藤「紙のパラダイムから脱却する時代が来ると思う。XRがくれば「空間のパラダイム」の時代が来る」川島「僕らからも新しい発表をしたいが、来年は5Gが始まることで全く違うことができる時代が始まる」 #XRKaigi pic.twitter.com/Qc6LaeSm7j
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一番印象に残っていた言葉、それがGOROmanさんが話されていた「空間のパラダイム」の時代。ホームページやハイパーリンクはあくまで平面上、つまり「紙のパラダイム」上で展開されていたものですが、これが「空間のパラダイム」に取って代わられる、というものです。
例えば中国などでは顧客対応はもはやビデオチャットに取って代わられているほか、ペイメントの世界では電子決済が日本でも始まりつつあります。これまでの「紙」に縛られてきたコミニュケーション・情報伝達が過去のものになる、とGOROmanさんは今回の基調講演でも、そして先日のVRMコンソーシアムでもお話されていましたので、この部分は後日公開予定の「VRMコンソーシアムセミナー」紹介記事でじっくりと!
近藤「早く『スマホがダサイ』って言われる時代がきて欲しいね。うわっ、だっさー!みたいなw 」水口「えー、またこんなちっちゃい画面でやってるのー、とかw」川島「varjoのHMDは本当にすごいよね」近藤「本当にすごい。あれが今後の基準になって欲しい」 #XRKaigi pic.twitter.com/8otw7AV3Ud
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というわけで、めちゃくちゃ濃かった基調講演が終わりました。本日の時点では超駆け足でのご紹介になってしまいましたが、本当に興味深いお話がいっぱいのセッションでした!
明日は朝よりセッションと展示、そして「VR/AR/MR ビジネスEXPO 2019 TOKYO」も開催されます。VRonは明日も! 可能な限り! 一つでも多くの展示・セッションをご紹介できればと思いますので、後日公開のレポートをお楽しみに!!
アップデートしたプレスパス。どうしても絞れんかった、、、。#XRKaigi pic.twitter.com/CeqIzNkoRu
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それでは、また明日に秋葉原にてお会いいたしましょうー!
取材協力:株式会社Mogura