2018年12月4日から7日までの日程で、東京・有楽町にあります東京国際フォーラムにて開催されました「シーグラフアジア2018」(SIGGRAPH Asia 2018)。只今各プログラムに出展されていた皆さんをご紹介しております。
只今「E-Tech」プログラムのご紹介中です。お次はこちら!
VarioLight:高速プロジェクタ及び光軸制御による 非対称な移動物体への投影型ARシステム(東京大学)
こちらが、東京大学石川妹尾研究室の「ValioLight」。上の写真のお兄さんが何気にうちわを持っていますが、内輪の外枠に4つの光が当たっているの、わかります? 実はこのうちわ、お兄さんが激しく動かしても一寸のブレもなく追尾して同じ位置に表示し続けるんですよ!
実際にうちわをブンブンと振っている様子。カメラシャッターが全く追いついていませんが(汗)、ちゃんとうちわに4つの光が同じ位置で当たり続けているのがお分かりいただけますでしょうか? 以下が公式の紹介動画。
「VarioLight」は、1000fps(秒間1000フレーム)という驚異的なシャッタースピードを持つプロジェクター「DynaFlash」と、投影する軸と結像する軸を同じにすることができるビームスプリッタ「Lumipen」を組み合わせたDynamic Projection Mapping(DPM)システムです。
超高速なテクスチャマッピングが可能なプロジェクター「DynaFlash」には、大きく動く物体へはマッピングできないという弱点があり、またビームスプリッタ「Lumipen」は動く物体への追跡を得意とする一方、プロジェクションマッピングの性能としては従来のものと同様、低速かつ回転しない物体に限定されています。そこで、この2つの長所をかけ合わせる形で組み合わせたのが「VarioLight」というわけです。
上の写真の右にあるのが「DynaFlash」、真ん中の投影装置が「Lumipen」です。
これにより「Lumipen」の高速回転ミラーが光軸を迅速に制御しつつ広く動く対象物の画角と解像度を両立させています。また同時に「DynaFlash」の超高速なマッピング力により、回転のあるオブジェクトに対して正確なマッピングを実現しているんですね。
この技術を活用することで、例えばダイナミックなオブジェクトにも投影テクスチャが貼り付けることができることを活かして「ステージパフォーマンス」などのメディアアートや、投影先の物体表面にダイレクトで所持する(かつキッチリと追尾する)できることで、スポーツアプリケーションなどへに役立てられる、としています。
「DynaFlash」を使ったダイナミックなプロジェクションマッピングはすでに2016年より各所で話題になっていました。上の「いっくら引っ張っても全然ブレないプロジェクションマッピングTシャツ!」映像、めちゃくちゃインパクトありましたもん!
上の動画ではTシャツでしたが、今回はさらに「Lumipen」を活用してブンブン振り回されるうちわに当て続けるという……。しかも、二つの機器は共に同研究室による自作……! さすが、プロジェクションマッピングの最前線を行く研究をされているだけあります……!
Tangible Projection Mapping: 手に取った物体の見かけを動的に拡張(電気通信大学)
こちらは電気通信大学橋本研究室による、手で持って自由に動かせる物体に対してプロジェクションマッピングを行う「Tangible Projection Mapping」です。こちらもまずは公式の紹介動画から。
東京大学の研究が超高速な機器を自作開発で使用しているのに対しまして、こちらの電気通信大学では一般的に普及しているプロジェクタを使用しているのが大きな特徴です。
市販の機器でアクティブなプロジェクションマッピングを実現するため、GPUを活用した高速な輪郭マッチングと並列処理を行い、高精度な位置姿勢の検知を「300fps以上」というハイスピードなフレームレートで実現しています。この高速な位置の追跡によって、各種機材の遅延や計算処理遅延を少なくしたプロジェクションマッピングを可能にしている、というわけ。
これが実際の展示。ウサギの立体モデルに対してプロジェクションマッピングが行われていますが、このモデルを動かしてもマッピングがズレることなく追尾するようになっています。
「Tangible Projection Mapping」では、ユーザーに対象物を自由に持ち、ユーザーの操作と対象物の姿勢によってその見かけを拡張することを可能にしています。また、マッピングの形状についても様々なものに対応しているそう。
市販の機材で高速な動的なっピングの実現により、「アクティブなプロジェクションマッピング」を幅広い分野にて普及させられる可能性がある、としています。今後どんな形で使われるようになるのか、楽しみですねー。
次回も「E-Tech」の研究発表をご紹介します! お楽しみに―!