その時、筆者は赤坂におりました!
スマートMRグラス「NrealLight」のデベロッパーであるNreal Ltd.は7日、 日本市場での事業計画発表及び 2020 年に発売予定の NrealLight の先行体験会 「Media Day」 を開催しました。
今回、VRonはお招きいただき取材させて頂きました。ありがとうございます! また、副社長(Vice President)の Joshua Yeoさんへ個別のインタビューもさせて頂きましたよ! 早速、本日の模様をお伝えしてまいりましょう。
NrealLight先行体験会「Media Day」レポート
今回の司会を務められましたのは、「ARおじさん」ことMESONの小林さん。
小林さんに紹介されながら、副社長のJoshua Yeoさんによるプレゼンテーションが始まります。
それは昨年の9月のことでした。突如発表された、まさに「メガネ」型のMRグラス。その後2019年1月のCES 2019にて正式発表。以下がその公式動画です。
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KDDI、XR技術を活用したスマートグラス「nreal」との日本展開における戦略的パートナーシップを締結
KDDIは31日、中国のnreal(エンリアル)社と日本国内におけるXR技術を活用したスマートグラスの企画開発、および日本展開を共同で推進する戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。 AW ...
その後5月のAWEを経てKDDIなどモバイルキャリアとの提携が発表され、一躍脚光を浴びることになります。VRonもたまげましたよ!
これが開発者向けの「デベロッパーズキット」。左から順に、「NrealLight」の心臓部となるコンピューティングユニット、「NrealLight」本体、そしてコントローラーです。ざっとスペックを書きますと、
- 視野角(FOV):52度
- 本体トラッキング:6DoF
- コントローラートラッキング:3DoF
- 本体重量:88g
- コンピューティングユニット:Snapdragon 845ベース / OS: Android / Unity・UE4のSDKを配布
- コネクト規格:USB-C
という塩梅。USB-Cコネクタを通じて「スマートフォンとの接続」を前提に開発されているのが特徴であります。
コンシューマ版リリースに向けて製造が本格化しております。現在中国の2つの工場にてバリバリ製造中だそうです。そんな「NrealLight」、最大のポイントが……
お値段です。すでにディベロッパーズキットは1199ドルで発売中。さらに来年に発売予定のコンシューマ版は、わずか499ドル(海外での想定価格)! なお、日本国内での価格は現時点で未定です。
ご覧頂ければおわかりの通り、そのスタイリッシュなプロダクトデザインを含め、完全にターゲットはコンシューマ向け、つまり「BtoC」を目指した製品である点で、競合となるHoloLensやMagic Leapとは一線を画します。
499ドルという価格を実現しているのは、頭脳となる部分をスマートフォンに任せる、という選択肢を取ったから。
SnapDragon 855に対応したスマートフォンに対応し、2019年末の時点で600万台、2020年の段階で1300万台のAndroidスマートフォンに対応したい、としています。
その最大の原動力が、Androidネイティブである点です。
200万以上のAndroidネイティブアプリへの対応や、既存のモバイルARアプリ、さらにはPCとの接続にも対応する、という懐の広さ!(なお、iOSには非対応)
この価格で競合プロダクトと互角に渡り合う「52度」の視野角を実現しているのは、実にお見事(解像度は1080p)。
特に強調されていたのが、上記写真にあるようなコントラスト・輝度の優位性です。
他プロダクトに比べ、特に12ポイントや8ポイントといった小さな文字の可読性における差がはっきりとわかりますね。実際に体験させていただいたのですが、たしかに画像のエッジがくっきりはっきり! 非常に明瞭に映像が見られることで、より視認性などにおいて大きなアドバンテージを感じました。なるほどなー!
こちらがnreal lightから見えてる様子
かなり輝度が高くはっきりと目の前に固定されてるのがわかると思います!
別のデモではバーチャルな猫が目の前に現れて、コントローラーで指した方向に追いかけてくれるデモとかもあってバーチャルペットが飼える未来もそう遠くないなと感じました pic.twitter.com/pODOWM1wAe— ARおじさん / MESON (@AR_Ojisan) May 30, 2019
こちらがMESON小林さんが5月にされたツイート。クッキリハッキリが伝わるのではないかと思います!
さて、そんなNreal Ltd.さんは日本を重要なターゲットとして推進するために2つのプロジェクトを実施しています。一つは「エバンジェリスト・プログラム」。
「エバンジェリスト・プログラム」とは、Nrealと開発者や消費者をつなぐプロジェクトです。NrealLight向けのアプリを開発する他、国内でコミュニティーの運営やイベント企画・実行に携わる企業を募る取り組みで、エバンジェリストとなった企業がディベロッパーやユーザーへアプローチを行い、コミュニティ形成を推進する仕組みになっています。
本日この「エバンジェリスト」として発表されたのが、株式会社MESON、株式会社ENDROLL、Graffity株式会社の3社。本日3社さんともリリースを発表されていますので、詳しくはこちらをどうぞ。なお、まだまだエバンジェリストとなる企業さんを募集されているそうです。
株式会社MESON
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000032228.html株式会社ENDROLL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000034386.htmlGraffity株式会社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000029595.html
さらに!
「PROJECT EVE」という施策も発表されました。こちらは広く開発者・開発会社からXRアプリの申請を受付け、スキルなどの審査が受けられる、というものです。審査を通過した人にNrealLightデベロッパーキットを貸し出す他、迅速なテクニカルサポートを提供、さらに公式デモへの採用の可能性も開けるそうでございまして、なかなか意欲的な内容となっております。
申請開始は明後日9日の朝9時から、上記のメールアドレスにて受け付けるそうです。これは面白そうー!!
位置づけとしてはこんな感じ。2つのプロジェクトを軸にしながら、積極的に日本でのコミュニティ形成を図りたいって感じですね!
Nreal Ltd.副社長 Joshua Yeoさんインタビュー
さて、今回は副社長(Vice President)の Joshua Yeoさんに直接お話を伺うことが出来ました!
・今回の日本進出において、「NrealLight」の「強み」、アピールしたいポイントを具体的に教えていただけますか?
Yeo「まず『軽い』、『小さい』、そして『皆さんが使いやすい』点ですね。一般のお客さんに向けて作りましたので、皆さんが使いやすいように、という点を心がけています」
・他社製品についてどの程度意識されていますか?
Yeo「我々の製品はBtoCです。他社さんはBtoB向けであることと、スマートフォンとつなげるという点が我々の製品の他にない特徴ですので、そこを推し進めていきたいと思っています」
・本製品以降の中長期的なビジョン、展開について可能な限りお聞きできればと存じます。
Yeo「来年第1四半期のコンシューマ版のリリースまでにはSDKの新バージョン(2.0)をご提供したいと考えています。そちらではモーション・キャプチャーとか、顔認識、音声コントロールなどを搭載していきたいですね」
・今回体験させていただいたのですが、コントローラーとしてスマートフォンの6軸センサーを利用して、スマートフォン自体をコントローラーとして活用されていました。2.0ではさらに一歩進んだ機能が提供される、ということですね?
Yeo「はい、その通りです」
・VRonでは、特に学生・ユース世代におけるE-techへの取り組みを重点的に取材しています。例えば「ユース世代」に対する取り組みや展望などについてはお考えですか?
Yeo「はい、もちろん考えています。若い人や学生がMRを日常的に活用していく時代がこれからやってくると思いますので、来年や再来年以降、将来的にいろんなプログラムを試せればと思います」
・最後に、弊社サイトの読者(主にライトなXRに関心がある層)へのメッセージを頂ければ幸いです。
Yeo「今はモバイル時代ですが、これから先にさらに進化していく中で、若い人たちが未来の主人公になっていきます。世界が変わるためにも我々は新しい技術を提供して、若い人たちのお力になれればと思っています」
今年の夏にMESONさんが開催された「ARISE #1」でもその洗練されたデザインに驚かされましたが、本当につけ心地や軽さ、そして小気味よいレスポンスなど、なるほどコンシューマ向けとして力が入っているなー、と感じました!
すでに日本のスマホメーカーではソニーさんが対応への名乗りを上げていますので、例えばハイエンドタイプのXperia(XPeria 1とかね)とセットでの展開とか、バリバリ有り得そうですね! そんなNrealLight、「CEATEC 2019」のKDDIブースにてお目見えするそうですよ! 詳細は今後の続報を待ちましょうー。
引き続き、VRonではNrealLightを追いかけてまいりますので、今後ともお楽しみに!
記事内スライド:©Nreal Ltd.
取材協力:Nreal Ltd. PR事務局