オープン・コンソーシアムのクロノス・グループ(以下:クロノス)は30日、OpenXR™ 1.0 仕様を承認し、本日より無料公開したと発表しました。
ついに仕様策定! VR / ARの統一APIとなる「OpenXR」がいよいよ一般公開開始
Khronos Groupは、「VRM」のベースとなる3DCG標準フォーマット「glTF2.0」などの策定を行っている非営利団体です。WebGLやOpenGLもクロノスグループによって策定されています。現在参加している主な企業については上記画像をご覧頂ければおわかりいただけるかと。
さて、本日無事に一般公開されました、VR/ARの標準規格を目指す統一API「OpenXR」。こちらはVR / ARといった「XR」に関するプラットフォームおよびデバイスへの高性能なクロスプラットフォームアクセスを提供する、統一されたロイヤリティフリーのオープンスタンダード API として策定作業が進められていました。
3月に暫定の仕様が公開された後、只今アメリカ・ロサンゼルスにて開催されている「SIGGRAPH 2019」にて正式に発表がされた、という次第。
「OpenXR」の策定によって何が起きるのかをご説明しましょう。例えば、これまでXRのアプリ開発やHMDデバイスについては統一された規格があるわけではなく、各開発エンジンがそれぞれで各HMDに対応、さらにHMDにも複数の規格が混在している状態でした。公式サイトではこれを「フラグメンテーション(断片化)」と表現しています。
開発エンジン、及び各HMDのインターフェイスが「OpenXR」のAPIに準拠することで、こういった規格の混在によるローカライズや移植の必要性を軽減し、より利便性を高める役割を果たすというわけ。
図に表すとこんな感じですね!
3月に発表された暫定仕様書の公開レビュー中に、XR コミュニティからのフィードバックが集まり、OpenXR 入力サブシステム、ゲーム・エンジン・エディターのサポート、およびローダーが改善されました。今回の「1.0 」仕様公開では、ワーキンググループは完全な後方互換性を維持しながら標準を進化させ、ソフトウェア・デベロッパとハードウェアベンダにポータブルなユーザーエクスペリエンスを提供するための強固な基盤を提供する、としています。
すでにWindows MR用ランタイムなどがリリース! 今後も各社からランタイムのリリースや実装が進む予定!
今回の「OpenXR 1.0」の公開に合わせて、
- Collabora Monado OpenXR オープンソース実装
- Microsoftが Windows Mixed Reality ヘッドセット用 OpenXR Runtime
- Rift 向け Oculus OpenXRの実装
- OpenXR の批准による Oculus Quest サポート
などがリリース、あるいはリリース予定になっています。またEpic Games が Unreal Engine で OpenXR 1.0 サポートを発表する予定。今後も会員企業によるOpenXRの実装が公開される予定で、OpenXRはクロノスの会員企業から継続的なエコシステムサポートを受けることになっています。
現在開催されている「SIGGRAPH 2019」では、OpenXRワーキンググループの Epic Games、Microsoft、および Varjo が、同一のOpenXR API を使用しながら、異なるVRプラットフォーム ARプラットフォームをターゲットとするXRアプリケーションのデモを実施しますよ。このデモンストレーションは現地時間で7月31日に開催されるバード・オブ・フェザー「クロノス BOF Days」 の午後1時からのOpenXRセッションで行われます。
というわけで、いよいよOpenXRが本格始動します! 実際に我々コンシューマーの目に見える形になっていくのはまだまだ先になりますが、OpenXRの普及が進めばHMDやゲームエンジンを横断したアプリケーション開発やHMDインターフェイスの互換性が加速していくだけに、今後の動向が非常に注目されますね!
おなじくクロノスが策定している3DCG標準フォーマット「glTF2.0」や、その影響下にある3Dフォーマット規格「VRM」の動向を含め、クロノス・グループの今後に期待です!