コラム

ファッション×音楽×VRイベント「 #FAVRIC 」レポート『物語を紡ぎ、共有するために必要な「覚悟」』

VTuberがランウェイを歩く。新しいファッション & ライブイベント「FAVRIC」を9月29日に開催

株式会社ガールズアワード、株式会社冬寂などで構成される「FAVRIC UNION」は20日、”世界初“のVTuberによる新感覚ファッション&音楽エンターテインメントイベント「FAVRIC」を、201 ...

株式会社ガールズアワード株式会社冬寂などで構成される「FAVRIC UNION」は29日、”世界初“のVTuberによる新感覚ファッション&音楽エンターテインメントイベント「FAVRIC」を幕張メッセにて開催しました。

観客動員は主催者発表で5,100人、ニコニコ生放送では約8万人の視聴者数カウントを記録。非常に野心的な試みとなった本イベント、VRonは取材でお邪魔させていただきました。当時のツイートを振り返りながら、レポートをお届けすると致しましょう。

いやー、まさにフルハウスというのはこのことをいうんだな、ってくらいにお客さんの入りがすごかったですね! 早々にA席が埋まり、B席もほぼ満員という動員力は、さすがは「ガールズアワード」などの大箱系ランウェイイベントを手掛けているだけあるな、と感心させられましたねー。

©FAVRIC 2019

私筆者、イベント開始早々に泣いてしまうという体たらくでございましたが、いやー、それほどなまでにミライアカリさんのセレクトが絶妙だったんですよ!

実は、物販のBGMの選曲も非常にツボをついたラインナップでございまして(ヒメヒナの「ヒバリ」とか!)、お客さんが「おいおい、ここはバーチャフリークか!」と笑いながら興奮していたのにはウンウンとうなずくしかありませんでした。

とにもかくにも、ミライアカリさんの絶妙なDJプレイで完全にフロアを掌握されてしまったわけでございまして、これは盛り上がらないほうが嘘でしょ! という安心感まで感じ取っちゃうんだから、アカリパイセンすげー!

©FAVRIC 2019

DJタイムの後は、今回のために特別に用意された衣装を身にまとった出演者たちが、仮想空間のランウェイを歩く「ファッションショーパート」。人数的にもおそらく10分~長くても30分くらいだろうなー、と思っていたので、約15分、という時間配分は想定内でした。今回ランウェイを囲うようにしてディスプレイが配置され、演者の移動に同期する形でディスプレイに表示がなされる、という趣向が非常に野心的といいますか、かなり思い切ったなーという印象を強く持ちましたね。

そして、大箱系ランウェイイベントの本領はここから。いよいよライブパートの始まりです!

©FAVRIC 2019

実はこのとき、サイドのディスプレイには他の出演者が登場していたんですね! そうか、我々プレスのスチールエリア(会場後方)からは死角になってて、それでわからなかったのか……。でも、上の写真で最推しのMonsterZ MATEのお二人が楽しげに踊っていたので良しとします!(いいのか)

©FAVRIC 2019

照明やパーティクルの使い方とか、さすがはスタイリッシュだなー、と感心するばかりだったのですが、もう一つどうしても見逃せない点がありました。これはイベント開催前から伝わってきていたことなのですが、開催側のVTuberに対する理解度の高さが半端なかったんですよね。その最たるものが、この流れかと。

ピンキーポップヘップバーンさんの出演は先に決まっていて(第1弾で発表)、その後に追加で電脳少女シロさんとアイドル部の皆さんの出演が発表されていたんですが、まさか、ここで平田さんとめめめちゃんの邂逅を実現させるとは……! ちょっと事前に予想していなかったこともあり、この展開には非常に驚きました。

それに、FAVRICの公式アカウントから発される出演者紹介がめちゃくちゃ細かくて、各出演者の動向をある程度追わないとわからないような情報をきっちりと発信されていたんですね。ビジネス的な観点で表現すれば「相当のリサーチを行った」のかもしれませんが、私筆者はこのときに「ははーん、FAVRIC UNIONの中の人には『わかってる』人が間違いなくいるな」と直感しました。

でなければ、この下りを持ってくる、ってなかなかできないことだと思うんです。平田さん(PPHさん)がもこ田めめめちゃんの限界オタクであることはPPHさんの動画をきっちりと見ていないとわからないはずで、しかもこのスキットにかなりの時間が割かれていた……ということは、ある程度のメッセージ性を持ってこのスキットを用意した、とも言えるわけです。

この後、PPHさんは持ち歌「PING PONG QUEST」に続いて「アイドル活動!」を熱唱するのですが、これがよかった!

この選曲も、PPHさんが「アイカツ!」のオタクである、ということが理解できていればものすごいメッセージを伴うことになります。この展開で私は確信しました。「ああ、FAVRICの中の人は、相当の覚悟を持ってやっているな」と。ただ人気のVTuberを集めてランウェイイベントをやりましょう、という発想では少なくともないんだな、ということを私は感じ取ったのです。

その思いは次に登場した「最推し」MonsterZ MATEのパートでさらに深まります。

©FAVRIC 2019

選曲もそうですが、なんと言っても、彼らのMVで使われた背景が見事にディスプレイ上で溶け合って、真新しい服を着てランウェイを縦横無尽に駆け回る二人のパフォーマンスを彩っている様は、もう「僥倖」としかいいようがありませんでした。「彼らのMVで使われている背景がそのままライブで使われ溶け合っている」というのが最大のポイントで、これはもう……MZMを追いかけている人にとってはたまらない瞬間でありました……。

また泣いてるし。

©FAVRIC 2019

YuNiちゃんの衣装が素晴らしかった! 3DCGだからこそできる、フリル部分のパーティクルエフェクトがお見事でした。いやー、キレイでした……。

©FAVRIC 2019

KMNZのお二人のパフォーマンスも盤石! この大舞台を物ともしない抜群の安定感で、安心して見ていられました!

©FAVRIC 2019

でろーんさんのパフォーマンスも非常によかったですねー! 写真ではまだその効果が出ていませんが、「雷鳴」の時には会場の盛り上がりに同期するようにして服の色が浮かび上がる、という演出が施されていて、会場がわあっと盛り上がっていたのがとっても印象に残っています。

©FAVRIC 2019

やっぱり花譜さんは、その場にいる人すべてを魅了してしまいますね……。今回身にまとった「瑠璃鶲」が非常に素晴らしかった! 花譜さんだからこそ生きるフォルムとエフェクト、そして、この「ハレ」の舞台で彼女が竹内まりやの「プラスティック・ラブ」を歌うわけですよ! もう唸ることしかできませんでした……。

©FAVRIC 2019

 

別格、でした。
素晴らしい、の一言に尽きます。それ以外に言葉が見つかりません。

EGOISTの出演が発表されたのは、開催を間近に控えた9月20日のこと。私達の耳にもそれはその日に届きまして、大層驚いたものです。

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私達VRonは、EGOISTさんのパフォーマンスについてよく存じておりました。あのバンダイナムコスタジオが叡智を結集して作り上げたライブモーション・キャプチャーシステム「BanaCAST」。EGOISTが登場する、ということはつまり、あの国内でも最高クラスの3DCGライブパフォーマンスが目の前に出現することを意味します。

そして、EGOISTの皆さんはまさしく「ライブパフォーマンス」を幕張メッセに持ってきました。そこにBanaCASTが使われたのかどうかはわかりません。しかし、ここまで繰り広げられてきた3DCGとは全く異質のレベルだったことは、間違いありません。

なぜ、この大トリにEGOISTを持ってくる、という英断を下したのか。ややもすれば、それまでの出演者との差異を指摘・批判されかねないほどのリスクを背負う選択でもあるわけで、それは主催者側も想定できていたはずです。ましてや、数々の3DCGコンテンツを制作されてきた冬寂さんが手掛けるわけですから、なおさら。

EGOISTの皆さんの圧倒的なパフォーマンスに打ちのめされた私は、

会場に巻き起こる大「アンコール」に身を委ねながら、この後に訪れるであろう大団円を待つすがら、考えに考えていました。

©FAVRIC 2019

照明がはためき、ディスプレイが何かを映し出したのに気づいて頭を上げた私が見たのは、志高く、今まさにヴァーチャルの世界で一生懸命に活動をしている「Rookies」の皆さんでした。

Rookies Runwayに選出されたVTuberの皆さん一人一人を紹介する公式アカウントのツイートが目に浮かびます。そのどれもが愛情に溢れ、心がパンパンにこもったものでした。

そうか。このイベントに横たわるメッセージとは、現在進行系のバーチャル・ビーイングをありのままで表現し、その上で新たなる可能性の存在を明示することだったのか。そう私は結論づけることができました。そしてそれは「野心的」とか「チャレンジング」という表現では有り余るほどの「覚悟」を携えて。我々の前に掲示されていたのです。

 

冬寂の代表を務められている北田さんが、FAVRICを創り上げていく中での心中を吐露されています。ぜひ全ての連ツイをお読みいただきたいのですが、相当の苦難・困難を伴われたようです。

今回の「FAVRIC」、すでに様々な意見がネット上でかわされています。筆者もメディアという立場上、どこまで言及しようか逡巡しました。いろんな意見があって良いと思いますし、VRonが特定の意見に与することはありません。ただ今回は、私が、私の目で、耳で、心で感じたことを書こう、そう決めました。そしてその結果出てきたのが、上の文章です。

私はとにかく、このイベントから「覚悟」の二文字を感じ取りました。それはおそらく、様々なベクトルを向いた「覚悟」なのだと思います。そして、その「覚悟」には間違いなく「物語」が寄り添っていました。VTuberというムーブメントを追いかけてきた人が感じ取ることのできる数々の「物語」です。この2つが重ね合わさりあの素晴らしい熱狂を生んだことは、事実としてここにはっきりと記したいと思います。

私筆者はこの「覚悟」と「物語」から、大団円を感じ、そうツイートしました。偽りのない正直な気持ちです。私にとって、FAVRICは素晴らしい、素晴らしいイベントでした。

おそらく、ネットで交わされている意見を一番重く受け止めているのは、北田さんご本人でしょう。であれば、我々は「SEE YOU NEXT YEAR.」の先を、待ち焦がれるのみです。DIVE XRさんが初音ミクさんの胸を借り、そしてFAVRICはEGOISTさんの胸を借りました。今度は……、自らの力のみで立ち上がれるのか……そこが焦点になっていく、そんな気がした、9月の熱い夜でした。

来年、またお会いできるのを楽しみにしております! 皆様、本当にお疲れさまでした!

取材協力:FAVRIC PR事務局

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